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大島コラム

国際大会は縦の変化が有効。五輪では山本由伸をエースとすべし【大島康徳の負くっか魂!!】

 

縦の変化球も操る山本由伸[オリックス]の投球は国際大会向き。私が監督なら、彼をエース格として前面に押し立てます


栗林、平良の選出は大正解


 この号が出るころにはちょっと古い話になりますが、交流戦が終わりました。セ・リーグの勝ち越しは12年ぶりらしいですね。パ・リーグはソフトバンクの不振が痛かったです。そしてオリックスが交流戦優勝。このページでも「どうなってるんだ、あのチームは」と散々言ってきましたが、やっと来ましたね。ずっと「打ちさえすれば」という感じでしたが、杉本(杉本裕太郎)が出てきて、福田(福田周平)がトップバッターで頑張って、やっと投手力が生かせるチームになってきました。またパ・リーグでの戦いが楽しみです。

 東京オリンピックのジャパンのメンバーが発表されました。基本的には2019年の『プレミア12』のメンバーをベースにした感じでしたね。選ばれた人をどうこう言うつもりはさらさらないんですが、今、調子の落ちている人もいるし、もうちょっと、名前だけじゃなくてイキのいい若手を入れても良かったかなという気もします。まあ、やっぱりどこかに基本線を置かないと選べないので、『プレミア12』のメンバーを基本にしたということでしょう。こういう選考はどうしても、実績を重んじた選び方になってしまうんですよね。

 そんな中で、栗林(栗林良吏広島)、平良(平良海馬西武)を選んでいるのは大正解でしょう。どちらも、速いボールがあって、落ちるボールが効果的だと思いますよ。

 リリーフ専門のピッチャーを多めに選んでいるのもいいですよね。絶対にそのほうが使いやすいです。今回は途中の勝敗次第で試合数が変わるので、先発の起用は難しいですが、後ろのピッチャーが多ければ、ある程度、先発の球数を決めておいて、柔軟に対応できますからね。

 投手陣でカギを握るのは山本由伸(オリックス)でしょう。国際大会では、菅野(菅野智之巨人)のような横の変化のピッチャーよりも、山本のような縦の変化で投球を組み立てるタイプのほうがいいと思います。千賀(千賀滉大、ソフトバンク)がいたら千賀がエースだったでしょうけど、今回は山本をエース格として前面に押し出していくのがいいと思います。

 野手は、右打者、左打者のバランスも取れていて、いいメンバーだと思います。サードも村上(村上宗隆ヤクルト)しかいないので、悩む必要がないですし。

 打線のカギを握るのは、村上、吉田正尚ら、左打者だと思います。国際大会では、相手の攻め方が、左打者のほうが懐に厳しいボールを投げてくるケースが少ないように思います。外の逃げていく球の配合が多くなる傾向があると思いますから、相手投手をつかまえるチャンスも多くなるはず。このあたりの打者を何番に入れるかがカギになると思います。

 オリンピックも、やるからには勝たないとね。やるからには一番を目指して。結果を残さないと、なんやかんやと言われるのがこの世界ですから。稲葉(稲葉篤紀)監督も、プレッシャーはあるでしょうけれども、思い切った采配をしてほしいですね。

「目」を描いたバットが……


 今週はバット特集だということですので、少しバットの話も書いておきましょう。僕は現役時代は、最初はアシックス製、そのあとミズノ製を使いました。材質は最初はアオダモ、そのあと圧縮バットを使い、それが禁止になったので、またアオダモに戻りました。メープルは使ったことがないですね。

 重さは920〜930グラム。山本浩二さん(元広島)が900グラムだか910グラムだかという話を聞いて、「エエッ、そんなに軽いの」と驚いた記憶があります。でも、今の選手は890グラムとか880グラムとか、もっと軽いのを使っていますよね。僕は今の軽量のバットは使ったことがないから感覚は分かりませんけれども。

 グリップエンドの形は、けっこういろいろ替えましたよ。基本的には「打てるんだったら何でも使う」という感じでした。調子がいいうちはしばらく同じのを使い続けますが、打てなくなったらポイ、という感じで(笑)。

 打てないときは人のバットを借りて打ったり。それでホームランを打ったこともありますよ。長嶋(長嶋茂雄、元巨人)さんみたいに、たくさんある中から適当に抜いて、ということはしませんけど(笑)。ホームランを打ったのはいったい誰のバットでしたっけね。

 タイ・カップ式のグリップエンドのものを使ったこともありますよ。山本浩二さんのを参考にして。小指の握る位置が変わってくるので、タイ・カップ式だとバットが短く感じるんですよね。するとちょっと振りやすく感じることもありました。そんな感じで、あまり「これ」と決まった形はなかったですね。

 一つ思い出す大失敗は、調子が出ないときに、「もっとボールがよく見えますように」というおまじないというか、いたずらみたいなもので、バットの芯のところにマジックで目玉を描いて、それを使ったことがあるんですよ。そしたらあるとき、そのバットがバチッと折れて、先が飛んでいって相手ベンチに入ってしまった。何も言われなかったけど、「何をバカなことを」と笑われたでしょうね(笑)。まあ、おまじないやいたずらをしても、打てないときは打てない、ということですよ。

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