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デーブ大久保コラム

今季大きく成長した門脇は努力家。これからますます成長していきます【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

努力と守備の才能でレギュラーをつかんだ門脇。打撃も良くなってきており、将来2000安打を狙っていけそうだ[写真=高塩隆]


 目の前で阪神に胴上げをされて、もちろん悔しい気持ちでいっぱいですが、それよりも打撃チーフコーチとして原(原辰徳)監督に、優勝できるだけの戦力を提供できなかったというか、つくれなかったという、自分の情けなさと申し訳なさというものがありました。

 最後にボールが中野(中野拓夢)のグラブに収まってから少し、ジーッとその場面を見ましたが、そのあとはすぐ、クライマックスシリーズに絶対に出るぞ、阪神を倒すぞ、という強い気持ちに変わって、ロッカーへと戻りました。

 その後は中日に1勝1敗で迎えた9月17日のヤクルト戦(東京ドーム)。1試合も負けられないのですが、9回表に同点に追いつかれてしまいます。しかしその裏、打線がつながり二死一、二塁から二番に入っていた門脇(門脇誠)がセンターへサヨナラ安打を放ちました。

 この門脇という選手は、本当に練習をします。チームNO.1というくらい練習に練習をしていく選手。しかも準備もしっかりやります。でも、打撃はすっとこどっこいでした。それでも守備は誰もが認めるうまさを持っています。三塁を任されるところから始まり、いまでは勇人(坂本勇人)を三塁に追いやり、遊撃の守備に入っています。

 以前、若松(若松勉)さんに聞いたことがあります。「なぜ、青木(青木宣親)をレギュラーで起用しているんですか?」と。たしか青木がまだ1年目のときです。答えは「抜群に守備がいいから。守備で試合に出続けていけば、打撃もよくなり2000安打を打つ選手になる」と。その前に同じヤクルトでは宮本(宮本慎也)が遊撃のレギュラーを獲得しましたが、打撃は……。しかし、彼も2000安打を記録する大打者になりました。

 そのように守備がうまいという、すごい武器があればレギュラーとなり、一流の投手のボールを打つ習慣が身に付けば打撃は対応できる、というものです。実際にそういう事実があるわけですから、門脇にも2000安打のチャンスがあるのです。

 実際に徐々に打撃が良くなっています。彼は左打者なので、亀井(亀井善行)コーチを筆頭に、阿部(阿部慎之助)ヘッドの2人で教えています。基本的に狙うのは、常に遊撃手の頭の上です。この2人のコーチが門脇の成長に大きな役割を果たしています。

 いまでは見逃し方にまで工夫を見せ始めました。阪神の一番・近本(近本光司)のあの、ふわっとした見逃し方を、自分なりに取り入れて自分なりの見逃し方を身に付けようとしています。

 性格は、そうたくさん話すほうではなく、静かなタイプ。でも、失敗しても落ち込まず、成功しても騒がず、淡々と物事をこなしていきます。多分、胸の中には熱い気持ちがあるとは思います。誰よりも早く来て練習をするくらいですから。首脳陣もそこは認めていますし、周りも認めるだけの努力をしている男です。

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