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デーブ大久保コラム

若いメンバーで勝ち方を知った阪神はリーグ連覇の可能性が高いです【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

絶妙な距離感で選手を見守る岡田監督。それもまた選手たちにいい緊張感を与えていると思います[写真=BBM]


 1カ月の春季キャンプも終わり、オープン戦、そして開幕へと向かっていきます。つい先日、球春到来と思っていましたが、もう1カ月後には143試合に向けたシーズンが始まります。本当に時が流れるのが早いなあ、と思いますね。

 今週の週刊ベースボールの特集は「阪神」。昨年、巨人のコーチを務めた身として、目の前で胴上げを許してしまったチームです。90年近い歴史を誇る伝統球団で、超人気球団なのですが、今までリーグ優勝、日本一後の連覇が一度もない、という不思議なチームです。

 今年こそ球団初の連覇を狙うチームですが、その可能性はかなり高いと私は思っています。その理由として、まず岡田彰布監督の存在です。「普通にやればいいんや」と言って、特段奇策をするわけでもなく、淡々と攻撃を仕掛けてきます。強いチームこそ、まさに普通にプレーするだけで強いんです。

 楽天の監督、コーチ時代のパ・リーグはソフトバンクがめちゃくちゃ強かったのですが、彼らが初回からセーフティーバントなどを仕掛けてきたら、先に動くので弱い立場からすると、「何か変に焦っているかも」と感じていました。つまり相手からすると、強いチームから動いてくれたほうが戦いやすいのです。

 それと岡田監督はいろいろなことを経験したことで、選手との距離感の取り方が非常にうまいなあ、と思います。選手とほとんど直接話さないと聞きます。これがいいんじゃないかと。先日も湯浅京己のピッチングが悪いとみるとすぐに二軍に落としましたよね。それまで選手たちの自主性に任せておいて、いきなり二軍行き。これだけでチームが引き締まります。

 気軽に「元気か?」と話し掛けたりと選手と同じ目線にならない。これが意外に現代の選手たちとの距離感としてはいいのかもしれません。私も昨年、この距離感に苦労しました。今でも「もう少し、こうしておけばよかった」と思いますから。極端に選手に寄り添うのもいい方向にはいかないですし、突き放すのも違います。そこを岡田監督はスポーツ紙などを使って、自分の意思を選手たちに伝えています。これがいい距離感だなあ、と。

 そして、何より阪神の選手たちの年齢構成が若いことです。ここ数年、主力メンバーもほとんど変わらない若いメンバーで、リーグ優勝と日本一を経験したことは非常に大きいんです。勝つために、やっていいことと悪いことを知ったはずです。

 もちろん、自信もついたと思いますが、選手たちが「勝ち方を知った」ことが何よりなんです。さまざまな場面で個々が何をすべきかが分かるようになることで、岡田監督の采配がよりスムーズに敢行できるのです。それが「普通にやること」につながっていくのです。私が経験した(ベンチでの)西武黄金時代のレギュラークラスの動きがまさにそうでした。その部分がより連覇には必要不可欠になってきますから。それも持った阪神は、連覇の可能性は非常に高いと予想しています。

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