
チームトップの7勝を挙げたマルティネス。苦しい先発陣、チームを支えた
まさに前半戦の救世主だ。7月10日の
オリックス戦(PayPayドーム)。先発の
N.マルティネスが、首位に立つ好調な猛牛打線を6回1失点に封じ7勝目を挙げた。チームは前日9日に同じ相手に大敗し3連敗。借金1、首位と5.5ゲーム差で迎えた落とせない一戦で、大きな勝利をもたらした。「チームとして素晴らしい勝利だった」。日ごろから味方の好守や得点時には全身で喜びを示し仲間をたたえるナイスガイは、自らはどうでもいいとばかりにチームの白星を喜んだ。
エース・
千賀滉大が開幕直後の故障で長期離脱し、
東浜巨も右肩故障で出遅れるなどした中、まさに先発の「柱」と言っていい活躍ぶりを見せている。新型コロナ禍で来日が遅れたが、5月は防御率1.97で4勝を挙げ、来日4年目で初の月間MVPを受賞。11試合に先発した前半戦の防御率は2.03と抜群の安定感を見せたが、それを支えている一つの要因が「宝刀」チェンジアップだ。
5月29日の
巨人戦(PayPayドーム)では奪った10個の三振のうち、実に9個をチェンジアップで奪った。
工藤公康監督は「球威が
日本ハムのときより出ている。緩急差が効いている」と、大きな武器となっている理由を説明。今季の直球は最速156キロを計測しており、日本ハムでの昨季までより威力の増した直球を生かした配球で打者を手玉に取っている。7勝目を挙げた翌11日には、東京五輪にアメリカ代表として出場するため一時帰国。「(五輪で)チームメートとの対戦を楽しみにしている」。頼もしい助っ人は、五輪では日本代表の難敵となるつもりだ。
写真=湯浅芳昭