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巨人90周年インタビュー

「『常勝』は一生ついてくる」 阿部慎之助監督が語る“伝統への向き合い方”【巨人90周年インタビュー】

 

 巨人の球団創設90周年のメモリアルイヤーを記念して、栄光に彩られた歴史、数多のスターたちを網羅した『ジャイアンツ90年史』が6月3日に発売される。そこで誌面に登場する豪華な4人&1組のロングインタビューを、一部抜粋した週べ特別編集版にて「ちょっと出し」でお届けしよう。4回目は阿部慎之助監督インタビューから。

勝ちへの執念を継承


今季から指揮を執る阿部監督


――あらためて監督に指名されたときの率直な思いを聞かせてください。

阿部 身震いしましたね、本当に。何か今まで感じたことのない重圧というか、そういうもの感じました。2年連続Bクラスだったチームを何とかするというのは、もちろん並大抵の精神力ではできないことだと分かっていたので。そうした重圧、不安には駆られていました。

――それでも引き受けたのは、やらなければならないという使命感でしょうか。

阿部 それもありました。何より原(原辰徳)さんは僕が一番長くお世話になった監督です。その原監督から受け継ぐ。すごく重圧はありましたけど、自分の腹をくくってね、引き受けさせていただきました。

――90年の歴史の中で13人目の監督となります。ジャイアンツの監督として継承されていくものもあるのでしょうか。

阿部 やはり「常勝」を義務付けられている中で、勝ちへの執念というのは、長嶋(長嶋茂雄)監督から始まり僕の関わった監督さんはすべて持っていましたね。それは強く僕らも感じていましたし、そうしたものは継承していかなければならないと、自分の中では思っています。

――重なる部分があるかもしれませんが、あらためて90年の歴史の中で受け継がれてきたチームの伝統、阿部監督にとって大切なものとは何でしょうか。

阿部 やはり僕にとっては「ファンあってのプロ野球」だったので、就任するときにも「愛される巨人軍」という言葉を使わせてもらったんですけど。「愛される」まではいかなかったとしても、好んでもらえるような、面白い野球をやるなと思ってもらえるような球団になってほしいですし、していきたいと思います。

選手たちと一緒に考え、悩んで


――そのうえで阿部監督が思い描く「理想のジャイアンツ」とはどういうチームなのでしょうか。

阿部 理想を言えばね、各年代にスターがいてね、1年おきでも2年おきでもスーパースターになりそうな選手が出てくるというのは本当に理想ですよ。だけど、現実はやっぱり厳しいなと思って見ています。

――監督としてはそうした現実にどう折り合いをつけていくのでしょう。

阿部 みんな潜在能力があってプロの世界に来ているので、それをどう生かしていくか。それを常に考えながら僕らはやっていくしかありません。スターぞろいだったら、「はい、どうぞ」でいいんですけどね。試行錯誤しながら、選手たちと一緒に考えて、一緒に悩んでやるというのが、僕流かもしれないですね。

――監督になって伝統への向き合い方というのは、自分の中で変わってきたりはしましたか。

阿部 最後に来てしまうのは、やっぱり「勝たないと」と自分で思ってしまうので。「勝ってなんぼだな」と思ってしまう。その前に、その過程でいろいろなことがあるんですけど。やはりそこには先ほども出た「常勝」というのが、一生ついてくるのかなと思いますね。時代が移り変わって、戦力の均衡化が進んでいる中で、もしかしたら「常勝」というのは現実的ではなくなってきているのかもしれない。それでも、90年という歴史の中で、僕らが生まれる前から先人たちがチームを支え、つなげてきてくれたものがある。やはり、それはつなげていかなければならない。その使命感はあります。

写真=BBM

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