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悲劇の10.19とは

【悲劇の10.19とは05】わずか23分のインターバルに届いた「阪急身売り」の衝撃的なニュース

 

 週刊ベースボール4000号記念トークイベント第3弾として行わるのが、「梨田昌孝×西村徳文」の組み合わせだ。トークテーマは「10.19の真実」。盛り上がることは必至だが、トークショー開催に先駆けて、1988年に近鉄が見せたドラマチックな「10.19物語」をお届けする。

絶体絶命の二死満塁


同点のピンチをしのぎ、捕手の梨田昌孝と握手する阿波野


 当時の規定でダブルヘッダー第1試合は9回を終えて同点なら延長に入らず、引き分け。引き分けなら近鉄の優勝の可能性が消える。4対3と近鉄が1点リードした9回裏、無死一塁、カウント2ボールから吉井理人をリリーフした近鉄のエース・阿波野秀幸は、山本功児を二ゴロ、西村徳文を空振り三振に打ち取って二死とした(余談だが、のちのロッテ監督が3人もいる)。

 しかし、佐藤健一に左翼線へ二塁打を打たれ、二死二、三塁。続く三番・愛甲猛に死球を与え、満塁に。

 しつこいようだが、1人でも走者が生還すると、近鉄の優勝が消える。

 絶体絶命の二死満塁。しかし、四番・高沢秀昭の打順だったが、首位打者を争っていた高沢はこの試合、3打数ノーヒットだった時点で代打を出され、このときはベンチに下がっていた。この年のパ・リーグで最も安打を打つ確率の高かった打者が打席に入らなかったことは、近鉄にとって幸運だったのかもしれない。途中出場の森田芳彦を3球で空振り三振に仕留め、試合終了。薄氷を踏むような勝利で、近鉄が第1試合をモノにした。

「やっと自分の体が元に戻った。顔面蒼白状態だったのが、再び血が巡った感覚でした。緊張、プレッシャー、両方ありましたが、第1試合は緊張のほうが大きかったかな。危なかったけど今日の自分のできる仕事はしたぞ。そのときはそういう気持ちでしたね」(阿波野)

「阿波野が打たれたとしたら、しょうがない。そう思ってベンチで見ていました」(淡口)

「ネット裏で見ながら、9回表から泣きっぱなしでした。1試合目が終わってロッカーに行ってあいさつしたら、仰木さんが『カネ(金村)、(第2試合は)ベンチに入れ。ロッテから見えんように』と言ってくれたので目立たないように私服にジャンパーを着て、ダグアウトのバットケースの後ろにこっそり座りました」(金村)

「気持ちの勢いを止められた」


阪急身売りの記者会見を行う上田利治監督


 記録によると、第1試合は3時間21分かかって18時21分に終了。第2試合は18時44分に始まった。その間、23分。「野球界は、今後のために考えてほしいです。あんなにヒートアップして第1試合が終わったのに『次は20分後です』というのは選手が大変ですよ」(阿波野)。

 その短いインターバルに、衝撃的なニュースが届いた。

「阪急(現オリックス)の身売り話です。負けそうな試合を取って『よっしゃ、あと1試合だ!』と盛り上がっているときに新聞記者からそのニュースを聞いて、みんなそっちに気持ちが行っちゃったんです。気持ちの勢いを止められた。オリエント・リース(現オリックスの当時の社名)とは、どこの会社? とモヤモヤして、川崎球場のベンチ裏で、みんなが騒然としました。今なら試合の合間にロッカーでスマートフォンを見て、こういうニュースなのかと冷静にとらえたかもしれませんけど……」(阿波野)

=続く=


梨田昌孝×西村徳文が語る「10.19の真実」
【日時】2025年10月9日(木) 17時開場 18時開演(19時半・終演予定)
【会場】ニッショーホール[東京都港区虎ノ門2丁目9-16]
【ゲスト】梨田昌孝 西村徳文
【MC】上重聡
◆会場チケット 料金:6,000円(別途手数料がかかります)
【お申し込みはコチラ】「会場チケット」

◆配信チケット 料金:1,500円(別途手数料がかかります)
【視聴期日】当日〜2025年10月16日(木)23:59まで
【購入期日】2025年10月16日(木)21:00まで
※購入するにはZAIKOの会員登録(無料)が必要です
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写真=BBM

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