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岡田彰布『強いやろ虎、そらそうよ』

阪神・岡田顧問が予想する立石正広の起用プラン〜1年目から活躍を期待できる人材であることは間違いない〜

 

2025年、圧倒的な強さで優勝した阪神タイガース。2026年は、2リーグ分立後では球団初となる連覇をかけて戦う。昨秋のドラフトでは注目選手の立石正広(創価大)を1位指名。さらなる戦力の充実を遂げている。ズバリ、立石のポジションは? 前監督でオーナー付顧問・岡田彰布氏の展望を、12月に発売された岡田顧問の自著『強いやろ虎、そらそうよ』(ベースボール・マガジン社刊)より抜粋、編集してご紹介しよう。

岡田顧問の著書『強いやろ虎、そらそうよ』


アマチュアNo.1打者の内野手


 ドラフトは苦手やね。クジを引いたら外れ。また引くと外れ。こういうことが何度あったことか。勝負運はあると思っているけど、ドラフト会議だけは別物やった。

 2025年のドラフト会議。3球団が重複したのが創価大の立石正広やった。オレも事前に聞いていた。バッティングがいい内野手で、打者ではアマチュアNo.1ではないか、といった評価やった。

 抽選が始まった。壇上に広島・新井(新井貴浩)監督、日本ハム・新庄(新庄剛志)監督、そして阪神・藤川(藤川球児)監督が並んだ。ウン、待てよ。なんか見慣れた顔ばかりやないか。そうよ、3人は阪神OB。うまくかぶったもんやと思わず笑ってしまった。

 阪神は正攻法できた。その年、最もいい選手を指名する。それは投手、野手にかかわらずである。最初に引いたのが新井監督で、次が新庄監督。さあ藤川監督に残り福があるのか……。静寂が拍手と歓声に変わった。阪神に交渉権。なかなかのクジ運やないか。そう思いながら、昔のことが頭の中を巡っていた。

46年前のオレと同じような状況


 オレと立石、同じような状況やったなってね。いまから46年前の1979年度ドラフト会議。オレは野手No.1の評価を得ていた。それまで12球団からあいさつを受け、その中には三塁を空けて待っているから、といったチームもあった。

 当日、指名されたのは6球団やった。指名されればどこでも行く。そう決めていたから、ソワソワすることはなかった。クジ引きが始まった。6分の1でまさか当てられるなんて……。そう考えながら待っていると、阪神球団取締役の河崎(河崎雄介)さんという方が手を挙げていた。

 まさか、だった。こんなことがある? 親父やおふくろが望んだ阪神、そこに引き当てられた。自分でもドラマを見ているような感覚やった。

 ただし現実を見ると、最も指名されたらアカンチームやったかも、と思ったもんね。指名してくれた、阪神以外の5球団は「三塁を空けて待っている」のに対し、阪神には絶対的な三塁が存在していた。ここと争っても勝てるわけがない。そんな阪神にオレは指名されたのである。

オレの前には掛布さんがいた 立石の前には佐藤輝がいる


 その人こそ掛布雅之さんでした。ここからはカケさんと呼ばせてもらうが、オレより2歳上で、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いでスターになっていた。そんなもん、ポジションを争えるわけがない。だから最も入団したらアカンチームに……となったんやけど、それをより感じるときがきた。年が明けて行われた合同自主トレ。ティー打撃で次元の違うスイングを続けていたのがカケさんやった。

 1球ごとに「ハッ」と息を吐く。迫力が違った。これがプロのスイングか。驚きと衝撃があった。と同時に「負けたくない」という気持ちが大きくなった。

 あのとき、オレの前にはカケさんがいた。今回、立石の前には佐藤輝明がいる。立石は学生時代、主に三塁を守り、二塁もOKということ。ということは立ちはだかるのは佐藤輝、そして中野(中野拓夢)。佐藤輝はホームラン王と打点王の二冠よ。オレがカケさんに感じたプロのすごさを、立石も佐藤輝に感じることになるわけよね。

 オレのルーキー時、監督はブレイザーやったけど、告げられたのが「ルーキーはいきなり起用しない」というものやった。それがメジャー流ということだけど、まったく納得できない。使え、使わないの論争に発展し、ついに監督退陣になる騒動に。だからオレが常時出場し始めたのは5月の中旬からやった。

ショートか、レフトか……


 監督によって起用法は変わる。でもいまはそういう時代ではない。いいものはいい。よければ起用する。当然のことだが、立石はどう使われていくのだろうか。そこは藤川監督、首脳陣の考え次第だろうが、やはり佐藤輝の壁は厚くて強固だ。中野はセカンドで抜群の安定感。2023年にショートからコンバートしたのがハマった。2025年は143試合(守備に就いたのは142試合)に出てエラーが2つしかない、守備の要よ。

 となると果たして立石がショートを守れるのか、になる。2025年、阪神の遊撃は小幡(小幡竜平)、木浪(木浪聖也)、時に熊谷(熊谷敬宥)と固定するまでには至らなかった。2026年は小幡がリードという情勢。そこにショートを守れるなら、という条件付きで立石を登用。これは十分に考えられるプランだろう。さらに外野へのコンバートよ。うまくいけばレフトと六番問題が一気に解決するかも。立石を巡っては楽しみな選択肢が広がっているわけよ。

 オレは1年目の5月半ばから試合に出続けて新人王になることができたし、プロでやっていける自信を得ることができた。オレと同じような環境で阪神に入ってくる立石。まずプロのレベルで争っていけるというのが大前提になるけど、1年目から活躍を期待できる人材であることは間違いないよ。

写真=BBM

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