阪神タイガース・大竹耕太郎投手の自著『覆す』(ベースボール・マガジン社刊)が3月21日に発売。思いを言語化するのが得意な思考派左腕の著書が、発売早々反響を呼んでいる。刊行に際しての大竹自身の感想を本書の内容とともに紹介しよう(前・後編の前編)。 
完成した著書『覆す』を手にする大竹耕太郎©阪神タイガース
書くことが、どんどん出てきた
「僕なんかでいいんかな」
本書刊行の依頼を受けたときの、大竹の最初の感想だ。
「メジャーリーグに行っていたり、3年連続でタイトルをとっていたり、そういう人が本を出すイメージだったので、需要があるのかな、と思いました。ちょっと変わったトレーニングをしているので、そこに興味を持っていただけるかなとは思いましたが、それにしてもそんなに書くことあるのかなと。ただ、実際に始めてみると、書くことがどんどん、出てきました(笑)」
執筆はスマートフォンの日記アプリを主に使用。一日の欄に一項目を書き込んでいった。
「取りかかるハードルを下げるために、携帯を使いました。机に座ってペンを持って、というのはハードルが上がるので。携帯なら、5分の移動時間でも活用できますから」
シーズン中のヒーローインタビューの受け答えにも表れているように、思いを言語化するのは得意なほうだ。
「本をたくさん読んできたというわけではないですが、母が国語の教師という影響もあったのかもしれません。理系に見られますが、文系です。家具を組み立てるとかは苦手で、やりたくないですけど(笑)」
独自のトレーニング方法はもちろん、本書では、育成・現役ドラフトの崖っぷちから、いかに花開いたか、そのプロセスをさまざまな角度から紹介している。中でもとくに大竹が伝えたかったというのが、メンタル面の話。思考トレーニングを日常生活から行い、それをマウンドでどう生かすか、よくわかる内容になっている。
例えば、2025年7月29日の
広島戦(甲子園)。無死満塁のピンチを切り抜けた際に、「ワクワク感しかなかった」のも、このトレーニングの賜物だったという。
「野球での具体例を書けたところはよかったかなと思っています」
チームメートにも伝えていない、スローボールにおける発見があった
実際にマウンドで考えたこと、日々の取り組みが、大竹ならではの独特の視点から語られる。代名詞であるスローボールについては、高校時代に数学の授業で習った「必要十分条件」の話と結びつけて説明。「余裕がある ならば→ スローボールを投げる」「スローボールを投げる ならば→ 余裕がある」と、「余裕がある状況」と「スローボールを投げる状況」のあいだに双方向の矢印が成り立つことから「これは『必要十分条件』なんだ」と発見したという。
ほかの人にない、ユニークな視点を持つ大竹らしい表現だが、普段、チームメートにはこの「発見」を語ることはあるのだろうか。
「いや〜、そんなこと言うやつ、うざいんで。言わないですけど(笑)」
本書で、まさに初公開した頭の中。唯一無二の大竹ワールドに、はまる人が続出しそうだ。
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