阪神タイガース・大竹耕太郎投手の自著『覆す』(ベースボール・マガジン社刊)が3月21日に発売。思いを言語化するのが得意な思考派左腕の著書が、発売早々反響を呼んでいる。刊行に際しての大竹自身の感想を本書の内容とともに紹介しよう(前・後編の後編)。 
「遊んでいる子どもをイメージ」して撮影し『覆す』に収録した一枚
撮影中に自ら「イメージ」
完成した本を見て、「写真をいろいろ使ったのもよかった」と振り返った大竹。本書では、自身の幼少期の一枚から現在のトレーニング中の一枚まで、秘蔵写真を多数収録し、「読むこと」だけではなく「見ること」で、より内容を読者に届きやすくしている。「イメージ」を大切にする大竹ならではの思いが感じられる。また、私服での特撮写真も巻末に掲載した。
「球場での表情をコワイと言われることがあるので、普段の笑顔の写真も載せてもらってよかった。こんなに私服姿での写真を撮ったことがなかったので新鮮で、撮影がおもしろかったです」
実はこの撮影中も、大竹は自分自身で「イメージ」を高めることを大事にしていた。公園のブランコの近くで撮る場合には「遊んでいる子どもを見ているイメージでいきます」。木を見上げるポーズをするときには「桜満開をイメージします」。
撮影クルーが何も言わないうちに、自ら「イメージ」を思い描くことを宣言して、集中。自然と柔らかな表情になっていったのだ。
誰かと話すときにも、伝わるイメージを考えている
本書の中にも「イメージ」という言葉は多く使われている。例えば、雨の日には「砂漠に咲く一輪の花」をイメージして投げるという。
「イメージ力は大事。投げ方についてはもちろんですが、誰かと話すときでも、この話は何に置き換えれば伝わりやすいか、相手にわかりやすいようになんと言うか、イメージを考えていることが多いです」
本では、合気道をもとにしたトレーニングの様子も書いており、そこで培った考え方をベースに、マウンドではキャッチャーに「細い糸を通して意識を飛ばすイメージ」で投げると表現している。その感覚の補足として、大竹はこんな説明をしてくれた。
「イメージは、猫が獲物をねらうとき。意識は獲物に全部ありますよね。自分の腕をどうやって動かそうなんて考えてはいない。それと一緒です。『打たれたらどうしよう』『どういうフォームで投げよう』なら、矢印は自分のほうに向いている。そうではなく、自分に来る矢印をぜんぶ外に飛ばしてずらさない。そんなイメージです」
相手に伝わる言葉をいかに選ぶか。いつも心を砕いている大竹だからこそ書けた一冊には、はっとさせられることが多いのだ。
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