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育成・現役ドラフトの星、大竹耕太郎が阪神に移籍後、初登板の前日にとった意外な行動とは

 

2026年プロ野球シーズンが開幕。阪神タイガースのローテーションの一角を担う大竹耕太郎は、チームの連覇とキャリアハイの個人成績を見据える。ソフトバンクでの最後の2年間で0勝だった左腕は、現役ドラフトで阪神に移籍後、3年間で32勝。開花した大きな理由になったメンタルへのアプローチとは。3月21日に発売された、大竹初の自著『覆す』(ベースボール・マガジン社刊)より抜粋、編集してご紹介しよう。

大竹耕太郎の著書『覆す』©阪神タイガース


意識的にメンタルを、ポジティブな「別人格に」変えた


 阪神に移籍して、技術的にソフトバンク時代と大きく変わったところはありません。ただ、メンタル面では別人格か、というくらいに変わりました。というか、意識して変えました。

 これまでは物事の悪い面ばかりを拾いがちだったのが、ポジティブな面に気持ちを向けられるようになったので、楽に生きられるようになりました。

 マウンド上での感情の起伏も穏やかになって成績も安定するようになりました。以前の僕だったら、初回にホームランを打たれたとすると、「今日は何点取られるんだろう」と、悪いほう、悪いほうに意識が向いていた。それが「1点で抑えられたらいいか」「先に1点を与えただけ」と考えられるようになりました。

 2023年の開幕前にパドレスのダルビッシュ有さんがインタビューで、「メンタルも技術だ」と言っているのを見たのです。僕は、性格は持って生まれたものだから変えられないと思っていたので、衝撃を受けました。それからですね、意識的にメンタルを変えようと試みました。

 嫌なことがあっても、ポジティブな要素を探すようにしたのです。例えば、車を運転していて渋滞にはまったときに、イライラするのではなく、「車内でいつもよりたくさん音楽を聴けてラッキー」と思うようにしました。思考の転換ですね。そういうことを意識的に繰り返しているうちに、気づけば、自然とポジティブな考えが身についてきたのです。1カ月くらいでがらりと変わりました。

西勇輝からの驚きのアドバイス


 2023年の開幕直前に、チームで一番実績を残されているベテランの西勇輝さんから、「(大竹の)登板前日の日に、俺がご飯行こうって誘ったら行けるか?」と聞かれました。おそらく登板日間近になった僕の様子が明らかに変わって、緊張していたのを察してのお声がけだったのだと思います。僕はそのとき、行けません……と答えました。一軍の登板前に外食なんて……そんな感覚でした。

 続けて西さんに、「それ二軍戦の先発だったらどうなの?」と聞かれました。僕は、それだったら行きますと答えました。まずそこで、一軍と二軍で差をつけていることを自覚して、「なくしてみたら?」というアドバイスをいただきました。

 移籍後一軍初登板となった2023年4月8日の甲子園でのヤクルト戦前日。あえて、言われた通り外食しました。次の日はデーゲームでしたが、帰宅したのは23時頃。今までじゃ絶対あり得ない試みですが、翌日すごくいいマインドで投げられたのです。

 今となっては当たり前のように、前日でもあまり繊細にならずに普段通り過ごせるようになりました。西さんからは、はっとさせられることがたくさんあります。年間ローテーションを守るための、メンタル面のコーチのようなアドバイスを惜しみなくいただいています。とても感謝しています。

ポジティブな要素を冷静に見つけていく


 登板するのが怖いと感じるのか、楽しみで早く投げたいと感じるのか。そこには雲泥の差があります。少しずつではありますが、僕は着実に楽しみに感じられるようになっています。

 もちろん、今でも根はネガティブで母親譲りの心配性なので、打たれたときに弱気の虫が顔を出すことはあります。ただ、そこで強がって気づかないふりをしたり、こう思ってしまったらダメだ! と否定したりするのではなく、一旦まずはそんな弱気な自分を受け入れる。自分でこう思うんだと。そして「この程度のピンチで緊張するなんて、まだまだ弱いな」と自分を客観視して、ネガティブ思考にのみ込まれるのではなく、ポジティブな要素を冷静に見つけていくことにしています。

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写真=BBM

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