2026年プロ野球開幕から約1カ月。阪神タイガースの技巧派・大竹耕太郎は、チームの連覇に向けてやるべきことを常に見据えている。ソフトバンクでの最後の2年間で0勝だった左腕は、現役ドラフトで阪神に移籍後、3年間で32勝。進化の原動力は何か? ここでは元ソフトバンク・和田毅さんの言葉からの気づきを、発売後たちまち重版が決まった大竹初の自著『覆す』(ベースボール・マガジン社刊)より抜粋、編集してご紹介しよう。 
大竹耕太郎の背番号は今年から和田さんと同じ21に©阪神タイガース
あこがれの人から言われた衝撃的な一言
小学2年の夏休み。人生初のプロ野球観戦で先発されていたのが、プロ1年目の和田毅さんです。ホークスが勝利し、和田さんがヒーローインタビューを受け、花火が打ち上がったあの光景は、いまだに忘れられません。
同じ左投げでピッチャー。そんな和田さんの背中を追うように早稲田大に進学し、育成4位でソフトバンクにも入団することができました。しかし、入団直後、和田さんに初めてごあいさつをしたときに、返ってきた一言は衝撃的でした。筑後の球団施設で新人合同自主トレーニングをしているときのことです。端的に言うと「育成はまだプロ野球選手じゃないからな」という言葉でした。
あこがれの和田さんからの一言は大変厳しいものだったのです。少し突き放されたように当時は感じましたが、育成とはいえ、大好きだった球団に入団して、少し満足してしまっていた僕にとって、それはかなり胸に刺さりました。
「そうだ、まだスタートラインにも立っていないんだ」、「やることはたくさんあるんだ」と、その言葉を胸に頑張りました。
それからも何度か厳しい言葉をかけてもらっています。でもすべて僕のことを思ってくれての言葉です。どうでもいい相手には厳しい言葉なんてわざわざ言わない。僕のことを本気で思ってくださっているからこそ、出てくるお言葉は本当にありがたいです。
敗戦後、ホテルから和田さんに電話をかけた
和田さんの自主トレーニングに参加させていただいたのは、2022年からです。和田さんには技術的なこと、精神的なこと、人間性、本当にたくさんのことを学びました。
僕がソフトバンクを離れ、阪神に移籍してからも、そして、和田さんが現役を引退された今も変わらず交流は続いています。2023年のことです。初登板から6連勝して、北海道で1敗目を喫したのですが、すごく自分の中でガクッときたものがあって。そのときも、登板後すぐにホテルから電話をかけました。
「ホームランを打たれる怖さを知ったな」
和田さんは多分、僕の投げている試合を全試合見ていると思うので、「どうでしたか?」と聞くと、「ホームランを打たれる怖さを知ったな」とちょっとうれしそうな返事が返ってきたのを覚えています。
僕がかなり落ち込んで焦っているときの相談に対して、少しうれしそうにされている和田さんが印象的でした。それはおそらく僕がしっかり段階を踏んで壁にぶつかっているのをわかっていらしたからなのかなと、今振り返れば思います。
どちらかと言うと、和田さんには困ったときに相談させてもらっていることが多いかなと思います。投球の考え方もそうですし、フォームの部分でもそうですし、メンタル面も。すごく的確なアドバイスがいただけるので、僕としては心の拠りどころ、生きる教科書。そういう感じです。
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