ここでは2018年度の野球規則改正について触れる。今年度の改正項目は実に21項目に上るが、代表的な改正項目である、故意四球の申告制、いわゆる“二段モーション”についての変更点の2つを紹介しよう。 故意四球の申告制に関連する改正箇所
■5.05(b)(1)【原注】前段冒頭の文を次のように改める。(「」部分を追加) 「監督からのシグナルを得て審判員より一塁を与えられた打者を含む」、ボール4個を得て一塁への安全進塁権を得た打者は、一塁へ進んでかつこれに触れなければならない義務を負う。
■9.14(d)を追加する (d)守備側チームの監督が故意四球とする意思を球審に示して、打者が一塁を与えられたときには、故意四球が記録される。
■定義7を次のように改める。(「」部分を追加) 打者が打撃中にボール4個を得るか、「守備側チームの監督が打者を故意四球とする意思を審判に示し、一塁へ進むことが許される裁定である。守備側チームの監督が審判員に故意四球を意志を伝えた場合(この場合はボールデッドである)、打者には、ボール4個を得たときと同じように、一塁が与えられる」
【編集部注】 規則5.05は「打者が走者となる場合」について触れた項目。
規則9.14は「四球、故意四球」の記録について触れた項目。
定義は「本規則における用語の定義」を説明したもので、定義7はBASE ON BALLS「ベースオンボールス」(四球)について触れた項目。
“二段モーション”に関連する改正箇所

昨年、二段モーションによる反則投球の指摘を受けた菊池雄星
■定義38の【注】を削除する。 【編集部注】 いわゆる“二段モーション”に関連する改正箇所はここのみで、2018年公認野球規則で触れられたのはわずかにこの一文のみである。参考までに2017年公認野球規則まで記載のあった形の定義38を下記に記しておく。なお、定義38とはILLEGAL PITCH「イリーガルピッチ」(反則投球)について触れた項目である。
■定義38<2017年度> (1)投手が、投手板に触れないで投げた打者への投球、(2)クイックリターンピッチ、をいう。──走者が塁にいるときに反則投球をすれば、ボークとなる。
【注】投手が5.07(a)(1)および(2)に規定された投球動作に違反して投球した場合も、反則投球となる。
規則5.07は投球姿勢について触れた項目で、長文のため割愛するが、「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」の一文があり、“二段モーション”はここに抵触すると考えられ、定義38【注】に基づいて、2017年まで日本ではボークであった。ただし、定義38【注】は日本が独自で定めたものであり、国際大会ではボークとはならない。今回の改正は、国際的な基準に合わせて、無走者のときに“二段モーション“に対してペナルティーを課さないとするための措置であることが日本野球規則委員会が説明している。また、“二段モーション”は技術的な面、マナーの面においても望ましいフォームではない旨、同委員会は強調している。