今年のドラフトは10月11日に行われる。残り3カ月で各球団は候補選手の絞り込みに入っているだろう。各球団の補強ポイントはどこでターゲットは誰かを予想する。 ※年齢は2021年満年齢 読売ジャイアンツ
【2021ターゲット1】小園健太 将来のエース候補をじっくりと 【2021ターゲット2】廣畑敦也 先発もリリーフも期待できる即戦力 
[左]小園健太・投手/市和歌山高/18歳 [右]廣畑敦也・投手/三菱自動車倉敷オーシャンズ/24歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→即戦力&将来性のある先発
[ 捕手 ]→狙うならば高校生
[内野手]→将来性ある大型内野手
[外野手]→左のスラッガー
C.C.メルセデスと
高橋優貴が柱になりつつある先発左腕と、昨秋育成を含めて4人を獲得した捕手は優先順位が低いか。後半戦は高卒3年目左腕の
横川凱への期待も大きい。逆にコンディション不良で精彩を欠く
菅野智之が、今オフも動向は不明(海外FA権を獲得見込み)で、右の先発は最重要補強ポイントだろう。即戦力なら廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)や、「即戦力に近い」評価で将来を見据え、小園健太(市和歌山高)や
森木大智(高知高)も上位候補に挙がる。
昨秋のドラフトでは
阪神に入団した
佐藤輝明(近大)を1位指名したように、次の世代で
岡本和真とクリーンアップを打つ左のスラッガーも重要な補強ポイントの1つ。昨オフに
梶谷隆幸をFAで獲得しており、狙うは高校生野手。岡本の後輩でもある
前川右京(智弁学園高)らが候補か。社会人ではあるが、遠投125mの強肩で打ってはミート力のある「
中日・
大島洋平タイプ」の
藤井健平(NTT西日本)も高く評価されている。
阪神タイガース
【2021ターゲット1】石田隼都 将来豊かな左腕エース候補 【2021ターゲット2】松浦慶斗 未来の本格派、左腕エース候補 
[左]石田隼都・投手/東海大相模高/18歳 [右]松浦慶斗・投手/大阪桐蔭高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→未来の左腕エース&即戦力クローザー
[ 捕手 ]→次世代の正捕手の発掘
[内野手]→次世代の右の大砲候補
[外野手]→次世代の大砲候補
現状のレギュラーは20代半ばから30代前半と若く充実しており、約5年間はその流れが続く。その中で、次世代の充実を図っていく必要がある。一昨年は高卒を中心、今季は即戦力中心のドラフトだった。今後は、将来性豊かな高卒を多く獲得していったほうが、チームの活性化のスピードが上がるはず。現状高卒2年目の左腕・
及川雅貴が育ってきたが、さらに高卒左腕を獲得し、その中からエースを育て上げていきたい。そのためには身長180cm以上の本格派を狙っていくべきだろう。センバツ優勝投手の石田隼都(東海大相模高)や松浦慶斗(大阪桐蔭高)などはそこに合致する。
そのほかのポジションでは、毎年、俊足好打の野手を獲得しているが、将来を見越し内野の大砲候補でもある
徳丸天晴(智弁和歌山高)などを狙うのも面白い。即戦力ではクローザーの
スアレス退団後のことを考え、剛腕系の投手、廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)などを獲得し育て上げたい。
中日ドラゴンズ
【2021ターゲット1】正木智也 内外野を守れる長距離砲 【2021ターゲット2】阪口樂 将来の主軸でスター候補 
[左]正木智也・内野手/慶大/22歳 [右]阪口樂・内野手/岐阜第一高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→投手王国確立に向けて素材型
[ 捕手 ]→将来性豊かな高校生捕手
[内野手]→長打のある即戦力
[外野手]→大島洋平の後継者
投高打低のチーム状況を考えれば、何よりも獲得したいのは即戦力野手だ。しかもアベレージ型の巧打者ではなく一発のあるスラッガータイプ。その意味では大学No.1の長打力を誇る正木智也(慶大)は有力候補。さらに6月のスカウト会議で急浮上してきたのが、大学選手権で2本塁打を放った
ブライト健太(上武大)だ。両者ともに右打者だが、獲得できれば2年前のドラフト1位・
石川昂弥の大きな刺激にもなる。
忘れてならないのは、高校生の中ではNo.1打者の呼び声も高い阪口樂(岐阜第一高)だ。エンゼルスの
大谷翔平を彷ふつさせる二刀流だが、プロのスカウト陣の注目は高い長打力を誇る打撃力で一致。準地元の岐阜県出身だけに球団も徹底マーク。今年は「いい打者を獲っていかなければいけない」と
米村明チーフスカウト。この3年は1位で高校生を指名してきたが、今年はどうか。どちらにしろ野手に重点を置くことになりそうだ。
横浜DeNAベイスターズ
【2021ターゲット1】隅田知一郎 今永を目標にする150キロ左腕 【2021ターゲット2】廣畑敦也 スピンの効いた直球が武器 
[左]隅田知一郎・投手/西日本工大/22歳 [右]廣畑敦也・投手/三菱自動車倉敷オーシャンズ/24歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→即戦力の先発、将来の抑え候補
[ 捕手 ]→補強の必要なし
[内野手]→二遊間
[外野手]→将来性豊かな右打ち
即戦力投手を獲得する基本方針に変わりはなさそうだ。2014年のドラフトから
山崎康晃、
今永昇太、
濱口遥大、
東克樹、
上茶谷大河と1位指名。左ヒジ手術から復活を目指す東は苦しんでいるものの、それぞれが一軍で能力を発揮している。先発として候補になるのが隅田知一郎(西日本工大)。他球団と競合は避けられないが、最速150キロの左腕は魅力的な存在だ。今季の勝ちパターンはエスコバー、山崎、
三嶋一輝と確立されており、東京五輪の野球日本代表でもある山崎は将来的なメジャー挑戦を希望。救援型として最速154キロの廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)にも注目している。
その一方で一昨年には内野手の
森敬斗を1位指名。小園健太(市和歌山高)や森木大智(高知高)ら高校生投手もリストアップ。長く補強ポイントにしてきた二遊間は解消されつつあるが、特に右打ちの外野手は伸び悩み傾向。将来性を買い、高校生の外野手を上位指名する可能性も十分にある。
広島東洋カープ
【2021ターゲット1】椋木蓮 最速154キロの速球派右腕 【2021ターゲット2】畔柳亨丞 将来性ある高校の速球派 
[左]椋木蓮・投手/東北福祉大/21歳 [右]畔柳亨丞・投手/中京大中京高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→スピード&スケール重視か
[ 捕手 ]→若手人材豊富。補強の必要なし
[内野手]→若手多く、優先度は低い
[外野手]→
鈴木誠也の後継者の右の長距離砲
広島は「ポスト鈴木誠也」を念頭に置きながら、ドラフトの戦略を立てている模様だ。メジャー志向の強い
鈴木誠の穴を埋める右の長距離砲を探し続けている。ただ、今秋のドラフト指名候補を156人に絞り込んだ5月のスカウト会議後には、球団関係者が「長距離の野手があまりいないので、もう1回見直し」と話していた。慎重に右打ちの野手の調査を進めているが、投手の上位指名もあり得る。
候補に挙がっているのは、大学生では最速154キロの速球派右腕・椋木蓮(東北福祉大)や、最速151キロ左腕の
佐藤隼輔(筑波大)ら。高校生では、最速151キロ右腕でチームを今春のセンバツ4強に導いた畔柳亨丞(中京大中京高)、最速152キロ右腕の小園健太(市和歌山高)、身長193cmの長身右腕・
達孝太(天理高)、「スーパー中学生」として高校入学前から注目度の高かった最速154キロ右腕の森木大智(高知高)らも上位候補に名を連ねており、徹底的にマークを続ける。
東京ヤクルトスワローズ
【2021ターゲット1】小園健太 将来性豊かな高校生右腕 【2021ターゲット2】吉野創士 未来の正中堅手 
[左]小園健太・投手/市和歌山高/18歳 [右]吉野創士・外野手/昌平高/18歳
【補強ポイント】 [ 投手 ]→将来性のある先発
[ 捕手 ]→2、3年は補強の必要なし
[内野手]→
山田哲人の後継者
[外野手]→三拍子そろった高校生
毎年「即戦力」を狙って大学生や社会人投手を多く指名しているが、1年目から戦力となるケースは少なく、台頭著しいのは
奥川恭伸や
梅野雄吾ら高卒組だ。今年のドラフトは小園健太(市和歌山高)や森木大智(高知高)、畔柳亨丞(中京大中京高)ら高校生右腕に逸材が多く、1位指名候補に名前が挙がっている。野手も、2、3年後の成長も視野に高校生の指名がありそうだ。吉野創士(昌平高)は高校生の中でも飛び抜けた長打力、走力を備える素材型の外野手。
塩見泰隆らがまだまだ元気とはいえ、長打力のある若手外野手は
濱田太貴くらい。徳丸天晴(智弁和歌山高)ら、飛ばせる高校生外野手が上位候補になるだろう。
ただ、大学生や社会人の逸材投手も当然候補になってくる。
徳山壮磨(早大)や
三浦銀二(法大)は経験豊富でゲームメーク能力に長ける。社会人では廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)が頭一つ抜けた存在で、こちらは1位候補にもなっている。