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混セゆくえはいかに!? 絡み合う6球団の“勝負模様”を読み解く

 

6月23日現在、パ・リーグはソフトバンクが首位を快走、2位・日本ハムと10ゲーム差をつけている。一方、セ・リーグはというと……首位・広島と5位タイ(最下位タイ)のヤクルト中日でも5.5ゲーム差だ。残り70試合以上もある中で、この差はあってないようなもの!? 混戦の現状を整理して、今後を占っていこう。
※成績・情報は6月23日現在
『週刊ベースボール』2024年7月8日号(2024年6月26日発売)より

広島・チャンスは一発でつかむべし



 頭一つ抜け出せないのは、やはり中日に苦戦しているからだろう。5球団の中で唯一の負け越し。4月5〜7日には本拠地・マツダ広島で同一カード3試合連続完封負けの屈辱も味わった。

 打線がつながらず、1点が遠い。これに関しては対中日に限った話でもなく今季は6月23日現在、両リーグ最多12度の完封負けを喫しているが、対中日は5試合。ほかにもスコアレスドローが1試合ある。ただ、その完封負けの5試合も0対1が3試合ということを考えると、決して両チームの“力関係”に大きな差があるわけではないことも明らかだ。

 チーム防御率2.70の中日投手陣だが、対広島では同1.37。バンテリンで同1.23、マツダ広島でも同1.50と安定しているだけに、打ち崩すのは簡単ではない。ならば、ワンチャンスをものにして、ここまでの負けを取り戻したい。

DeNA・過去の呪縛を振り払え



 交流戦を7連勝で締め、追い上げ態勢のチームにとって広島は壁になりそうだ。対広島は三浦大輔監督が就任した2021年から3年連続負け越し中。かつ、今季、同一カードで3タテを食らったのは広島(4月24〜26日=横浜)のみ。苦手意識を払しょくしないことには、頂点は見えてこない。

 前述のカードでは、中継ぎ陣が全試合で失点。試合中盤に粘れず、リードすれば逆転され、先行されれば突き放されて連敗を喫した。

 反撃のカギは坂本裕哉が握る。5月25日の同戦(横浜)では、1点リードの6回から二番手として登板し、上位打線を相手取りながら2イニングを1安打に抑えて初ホールドをマーク。その後も中継ぎとして信頼を高めてきた。

 また、火消しとしても起用される左腕は、対戦時に広島.262、DeNA.188と水をあけられている得点圏打率の差を埋める意味でも重要だ。攻撃では度会隆輝森敬斗といった足のある選手が得点圏をにぎわせ、“率”は残せなくとも“数”で差を縮めたい。

阪神・大山の打点力がキーに



 首位・広島に1つの負け越しだけに終わっているが、試合内容は悲惨だ。10試合を終わって3点以上奪っている試合が1試合しかない。勝っている4試合中3試合も2得点しか奪えていない。その要因は、やはりクリーンアップの不振にあった。一、二番を打つ近本光司中野拓夢は、広島戦打率3割3分以上を記録しており、どちらかが塁上にいることが多い。昨年はこの2人が早いイニングで出塁し、クリーンアップで先制点を奪い優位に試合を進めていた。

 だが、今季は特に広島のリリーフ陣が昨年以上に強力で、貧打の猛虎打線では試合後半ではなかなか点が奪えない。そこで交流戦明けに一軍に復帰した四番・大山悠輔のバットに期待がかかる。復帰試合では2安打、2戦目で本塁打と復調を見せている。早いイニングで先発から大山が、先制点を挙げると、阪神が有利に試合を動かせる。しぶとさは阪神以上の広島。3点以上を先発陣から奪わないと勝ち目はなく、そこがクリアできないとアレンパの確率は低くなる。

巨人・「鬼門」の克服はなるか



 2つの鬼門――甲子園とマツダ広島。昨季3勝10敗の前者は今季ここまで2勝3敗1分けながら、5月24日の戸郷翔征のノーノーで風向きは変わったはず。となれば、残るは昨季3勝9敗だった後者となる。現在は広島が首位に立っているとなれば、なおさらだ。

 阿部慎之助監督もはっきり「鬼門」と口にして強い決意で臨みながら、今季もマツダ広島では2分け4敗と白星が遠い。イレギュラーなど不運な打球も多く、指揮官も「何か不思議だなと思いながら見ていた。いつからこんなになったんだろう」と「鬼門」感はむしろ増している。

 2分けはいずれもスコアレスドローと、投手陣は一定の働きを見せている。マツダ広島に限った話ではないが、問題は6試合でわずか8得点の打撃陣だ。好機をつくり主砲がかえす、という当たり前の形で得点をもぎ取っていくことが必要。幸い、昨季はチームが苦しむ中で四番の岡本和真は12試合で打率.413、7本塁打とマツダ広島で爆発。いかに四番の前に走者をためるかがカギとなる。

ヤクルト・逆転Vへ、鬼門を突破せよ!



 打撃主要3部門のトップをヤクルト勢が独占し、チーム241得点はリーグ1位と打線は機能している。しかし、5月5日からBクラスを抜け出せず。停滞の原因は同ワーストタイの230失点と投打がかみ合わないところにある。

 目標はAクラス入りではなく優勝。となれば、まずは首位・広島に勝たなければならない。直接対決で大きく勝ち越せば逆転Vは近づく。鬼門は敵地・マツダ広島。昨季は1勝11敗1分けと相性は悪く、今季も0勝2敗。まずは今季初勝利を。そこから波に乗りたい。

 田口麗斗が抑えに復帰した現在、9回は安定した。問題は清水昇の不調で揺らぐセットアッパーの存在だ。今季、8回を最も任されているのは木澤尚文。右腕が定着すれば、右の大西広樹、左の山本大貴と火消し役はそろうだけに、終盤は安定した戦いが展開できるはず。昨季、木澤はマツダ広島で6試合に投げ防御率0.00と相性も良い。逆転優勝には白星を一つもこぼせない。確固たる勝利の方程式をつくり、快進撃を見せたい。

中日・苦手意識をエースで払しょく



 下位に沈んでいるが、負け越しているのは阪神のみ。首位の広島には6勝中5勝が零封と投手陣の奮投が光っている。ほか3球団とは五分の勝負ができているが、今後のカギを握るのは、ズバリDeNAだ。立浪政権が誕生した2年前は6勝18敗1分、昨年は8勝16敗1分と完全にカモにされ、それが2年連続最下位の要因となった。中日とは対照的に打線が売りのチーム。「いつも同じ打者にやられてばかりいる」と指揮官は口にしているが、今年で言えば蝦名達夫だろう。中日戦の成績は24打数13安打の打率.542だ。

 DeNA打線を封じるには、やはりエースの出番になる。今なら高橋宏斗だ。今季はDeNA戦での登板は一度もない。3連戦の頭に投げ、チームに勢いを与えてもらいたい。ただ、DeNA戦は7月は3試合のみ。8月の8試合がカギとなる。高橋宏は3勝がノルマ。中田翔細川成也もDeNAに対しては打率.375、同.324と3割超え。苦手意識を払しょくしてV争いを演じたい。

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