週刊ベースボールONLINE

2024ドラフト直前情報

【2024ドラフト直前情報】競合覚悟か独自路線か残る11球団の戦略は

 

10月11日、広島が一番乗りで1位指名を公表した。しかし、本誌締切日の10月20日時点で続く球団はゼロ。競合必至の目玉を巡る駆け引きは、静観が続く。
写真=矢野寿明、太田裕史

宗山塁[左]は、名門・明大で1年春から出場機会をつかむと、東京六大学リーグ通算100安打をクリア。軽快な遊撃守備も魅力。金丸夢斗[右]は、球威、制球力、変化球の精度どれをとっても一級品。1年目から先発ローテーションの一角を担える即戦力左腕


 いつ、どのタイミングで口を開くのか。10月24日に迫った2024年のドラフト会議。11日に広島が明大の遊撃手・宗山塁の1位指名を公表した。地元・広島出身のスター候補へのラブコールで動いたドラフト戦線。だが、ほか11球団の追随はないまま、残り1週間を切った(10月20日時点、以下同)。

 昨年も真っ先に動いたのは広島だった。開催13日前に常廣羽也斗(当時青学大)の1位指名を公表。以降、他球団の動きがなく、ようやく2日前に西武が、前日に巨人ソフトバンク中日が1位指名の名を明かした。7球団が公表せぬまま迎えた会議当日は、史上最多7度の抽選が行われる展開に。先陣を切った広島は見事に交渉権を獲得。今年も『誠意』は結果につながるのだろうか。

 野手は宗山、投手なら金丸夢斗(関大)。ケガがありながらも1年前から立場は変わらず、2人が今秋の目玉選手だ。「20年に一人の遊撃手」と評される宗山は20日、早大2回戦で歴代10位タイのリーグ通算114安打をマーク。早大との3回戦、最終カードの法大戦と最低3試合を残しており、記録はさらに伸ばすことが考えられる。48打席で2本塁打、打率.381。三振はわずか1つと今秋も堂々の成績を残してきた。

 一方の金丸もまた、「アマチュア最高投手」の評価を揺るぎないものとした。春のリーグ戦で腰を痛め、最後の秋は先発から抑えに配置転換。それでも実力を発揮し、9試合に登板し14回無失点。大学ラストシーズンは春夏あわせてリーグ戦防御率0.00で終えている。攻守に輝く遊撃手と、安定感抜群の154キロ左腕。頭に「超」のつく即戦力2人に指名が集中するのは間違いないだろう。

直近15年で最多は7


 競合必至でも指名を決断するのか。それとも独自路線で単独指名を狙うのか。また、2位以降のプランは──。大学生では宗山、金丸とともに侍ジャパントップチームに招集された159キロ右腕の中村優斗(愛知工大)、右打ちスラッガー・西川史礁(青学大)も堂々の1位候補。リーグタイ記録の通算119安打を記録した渡部聖弥(大商大)も右の強打者として高い評価を得る。将来性に魅力の高校生にも逸材はそろい、左腕・藤田琉生(東海大相模高)、右腕・今朝丸裕喜(報徳学園高)の長身投手が注目。野手では遊撃手の石塚裕惺(花咲徳栄高)が高校NO.1野手との声が多く集まる。広島を除く11球団はどのようなプランで1位指名を決断するのだろうか。

 だが、どれだけ構想を練ろうとも、運に左右されるのがドラフトの魅力でもある。もちろん、最大の山場は12球団同時入札の1位指名。重複なら抽選が待ち構えている。

■2009年以降の1位1回目最多入札選手


 記載の表は09年以降、1位1回目で最多入札された選手の一覧である。20年には左の大砲・佐藤輝明(当時近大)、即戦力左腕の早川隆久(当時早大)と大卒の投打2人にそれぞれ4球団が指名した。今年も同様の傾向となるのか。はたまた、10年の大石達也(当時早大)、17年の清宮幸太郎(当時早実)のように半数以上の指名を占める一極集中の結末を迎えるのか。重複を割けて単独指名に踏み切る球団が現れても不思議ではない。

 2位以降はウエーバー方式で指名が続く。先陣を切るのはパ・リーグ最下位の西武だ。昨年は3球団競合で武内夏暉(当時国学院大)の交渉権を獲得。打線が課題の中、どのようなドラフト戦略を展開していくのだろうか。

2017年は早実・清宮幸太郎に7球団が競合した


 夢への扉が開くドラフト会議。選手はもちろん、各球団にとっても未来を大きく変える「運命の日」が間もなく始まる。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング