チームの未来を担う選手の発掘をするために地道なスカウティング活動を行っているスカウトたち。2025年シーズンの12球団スカウト布陣をチェックしながら、今年の補強ポイントを探っていこう。 ※表内の主な担当選手のポジションはドラフト当時 ソフトバンク・“今”だけにとらわれず
前年から体制は変わらず。充実の“戦力”で各地にいる逸材たちに目を行き渡らせ、多角的に分析して指名候補者を絞り込んでいく。昨季4年ぶりのリーグ優勝を果たし、再び常勝軍団を築き上げていくためには、将来性の見極めは特に重要だ。2023年からは四軍制を敷き、今季も育成選手が50人を超える中、多少は長期的な視点で育てていきたい選手も。各スカウトに求められるのは、“今”だけにとらわれない広い視野。確かな発掘力を見せつける。
【2025補強ポイント】レギュラー陣を脅かす大砲候補は魅力的 野手の世代交代は引き続きの課題だ。
柳田悠岐、
山川穂高、
近藤健介と、
小久保裕紀監督が早々に今季もレギュラーを明言している3人は頼もしい存在ではあるものの、いずれも30歳を超えており、いつまでも頼ってはいられない。飛ばす力に定評のある創価大・立石正広をはじめとして、長打力のある打者は上位候補になってくるだろう。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★
永井智浩 ☆福山龍太郎[(全国)]=10[1]
今宮健太(明豊高・内)
◎
作山和英[北海道・東北(全国)]=18育[2]
周東佑京(東農大北海道オホーツク・内)
宮田善久[関東・静岡]=23[2]
大津亮介(日本製鉄鹿島・投)
松本輝[関東・北信越]=24[3]
廣瀬隆太(慶大・内)
福元淳史[関東]=21[1]
井上朋也(花咲徳栄高・内)
稲嶺誉[関西]=24[1]
前田悠伍(大阪桐蔭高・投)
大本将吾[中国・四国]=25育[6]川口冬弥(四国IL/徳島・投)
加藤領健[九州・沖縄]=23[4]
大野稼頭央(大島高・投)
古澤勝吾[東海など]=24[2]
岩井俊介(名城大・投)
○
山本省吾[(海外のドラフト対象選手、全国)]=15[2]
栗原陵矢(春江工高・外)
□
小川一夫[(BCLほか独立リーグなど)]
★=球団統括本部 編成育成本部 本部長 兼 スカウト部 部長、☆=アマスカウトチーフ、◎=チーフ補佐、○=スカウティングスーパーバイザー、□=球団統括本部付アドバイザー 兼 スカウト部アドバイザー 日本ハム・関東の担当を細分化
二軍投手コーチの
伊藤剛氏が新たに加わり、主に関東地区を担当する。その関東はドラフト候補も多く、担当の区分けも細かく設定。例えば、東京六大学リーグなら3チームごとに担当を分けるなどして細分化。大渕隆スカウト部長は「今までは単独で自分の担当地域としてやってきたんですけど、結果としてクロスして見ざるを得ない状況にした」と説明。複数の目で好素材を見逃さないスカウト体制を敷いて、2025年のドラフト戦線に臨む。
【2025補強ポイント】24年に手薄だった野手を幅広くチェック 野手が補強ポイントとなる。昨年は育成を含めて8選手指名も野手は1人だけ。二遊間や三塁を守れるスラッガーや捕手あたりの優先順位は高くなりそうだ。投手も含めて好素材を果敢に指名する方針は変わらないが、やや極端だった2024年ドラフトを踏まえると野手の指名は不可避。幅広く候補選手を見極めることになりそうだ。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★大渕隆=19[4]
万波中正(横浜高・外)
☆
山本一徳[関東]=23[1]
矢澤宏太(日体大・投&外)
◎
山田正雄=13[1]
大谷翔平(花巻東高・投)
白井康勝[北海道・北東北]=21[1]
伊藤大海(苫小牧駒大・投)
高橋憲幸[南東北・北関東]=21[6]
今川優馬(JFE東日本・外)
坂本晃一[関東・甲信越]=22[9]
上川畑大悟(NTT東日本・内)
(新)伊藤剛[関東]
熊崎誠也[東海・北陸・近畿]=22[8]
北山亘基(京産大・投)
加藤竜人[中国・四国・近畿]=20[1]
河野竜生(JFE西日本・投)
荻田圭[近畿・東海]
石本努[九州]=25[1]柴田獅子(福岡大大濠高・投)
★=GM補佐兼スカウト部長、☆アマスカウトグループ長、◎=アマスカウト顧問 ロッテ・菅野剛士氏がスカウトに
昨年限りで現役引退した
菅野剛士氏が今季からスカウトに就任した。東海大相模高から明大、日立製作所と名門チームでプレーしてきただけに、広い人脈が期待される。その菅野スカウトも入れて、関東地区担当は4人(他地区の兼任も含む)。良い選手ならどの地方からでもウェルカムだろうが、足元の千葉を中心に地元を重視する傾向が見られる。有吉スカウトは九州担当ながら、千葉県立校出身の縁から、同じく千葉の県立校出身の
早坂響を発掘した。
【2025補強ポイント】西川史礁は内野か外野か、それ次第? 今年のドラフト1位ルーキー・西川史礁次第かもしれない。期待どおりの長打力を発揮し、チームの主力として順調に打っているかどうか。そうだとして、定位置は外野なのか内野なのか。その結果、足りない部分があれば今秋のチームの補強ポイントとなり、場合によっては野手よりも投手優先の補強となるだろう。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★
松本尚樹 ☆
榎康弘 柳沼強[北海道・東北]=20[1]
佐々木朗希(大船渡高・投)
福澤洋一[関東・独立リーグ]=23[1]
菊地吏玖(専大・投)
中川隆治[関東・甲信越]=21[1]
鈴木昭汰(法大・投)
(新)菅野剛士[関東]
田中良平[東海・北陸]=25[2]宮崎竜成(ヤマハ・内)
三家和真[関西]=22[1]
松川虎生(市和歌山高・捕)
黒木純司[中国・四国]=21[2]
中森俊介(明石商高・投)
有吉優樹[九州・関東]=24[4]早坂響(幕張総合高・投)
★=球団本部長、☆=アマスカウトグループディレクター 楽天・組織体制を大きく変更
今季のスカウト布陣は大きく変わった。昨季限りで
ヤクルトで現役引退した
近藤弘樹氏が北海道・東北担当に。同担当だった
益田大介氏は東海担当へ。昨季は東日本エリアマネージャーを務めていた
沖原佳典氏がアマスカウトグループマネージャーになった。同氏は
早川隆久、
荘司康誠、
宗山塁を担当するなど絶大な信頼と実績があるため、全体を統括するのにうってつけの人物だ。新たな体制で、即戦力と将来性豊かな逸材の発掘に力を注いでいく。
【2025補強ポイント】先発型の即戦力右腕を中心に獲得したい 補強ポイントは今年も投手陣、特に先発ができる即戦力の右腕を求めている。昨季は早川隆久、
藤井聖の2人が球団初の左腕での2ケタ勝利を挙げる活躍をみせたが、期待されていた右の荘司康誠がケガで1勝止まり。オフには、ヤフーレ、ハワードと右の先発候補を獲得しているだけに、課題は明確。早大の
伊藤樹らが候補か。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★
後関昌彦=14[1]
松井裕樹(桐光学園高・投)
☆
愛敬尚史=19[1]
辰己涼介(立命大・外)
◎沖原佳典=25[1]宗山塁(明大・内)
(新)近藤弘樹[北海道・東北]
部坂俊之[関東]=24[1]
古謝樹(桐蔭横浜大・投)
井上純[関東]=25[5]吉納翼(早大・外)
益田大介[東海]=24[7]大内誠弥(日本ウェルネス宮城高・投)
足立祐一[関西]=25育[1]岸本佑也(奈良大付高・内)
岩見雅紀[中国・四国]=25[2]徳山一翔(環太平洋大・投)
大久保勝也[九州・沖縄]=23[3]
渡辺翔太(九州産大・投)
★=スカウト部顧問、☆部長兼育成グループマネージャー、◎=アマスカウトグループマネージャー オリックス・担当地区を変更しつつ
関西を担当していた谷口悦司氏がスコアラーに転身し、同じく関西担当の乾絵美氏も広報宣伝部へ。2人のスカウトが抜けた一方で新任はいないが、
小松聖氏の担当地区が北海道・東北から東北のみになり、
下山真二氏が東海・北陸から近畿担当に。
岡崎大輔氏も関東・東北から関東のみ、
佐野如一氏が関東に加えて北海道にも眼を光らせるなど、担当地区を変更しつつ、
牧田勝吾編成副部長を筆頭に全9人のスカウト陣が逸材を発掘していく。
【2025補強ポイント】柔軟な指名を続けつつポイントは“野手” 現有戦力を見れば、実力・年齢構成とも投手に問題なし。一方の野手は層に厚みを出したいところ。
来田涼斗、
内藤鵬、
横山聖哉ら期待の若手はいるものの、昨秋のドラフトで支配下指名した野手は大卒の麦谷祐介、社会人出の山中稜真の2人のみ。近未来を見据え、今秋は支配下で素材型の野手の指名に踏み切っても不思議ではない。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★牧田勝吾[全国]=10[2]
比嘉幹貴(日立製作所・投)
☆
山口和男[全国]=17[4]
山本由伸(都城高・投)
小松聖[東北]=23[2]内藤鵬(日本航空石川高・内)
下山真二[近畿]=21[6]
阿部翔太(日本生命・投)
早川大輔[中国・四国]=22[4]
渡部遼人(慶大・外)
縞田拓弥[九州]=20[1]
宮城大弥(興南高・投)
岡崎大輔[関東]=23[1]
曽谷龍平(白鴎大・投)
小林敦[東海・関東]=25[2]
寺西成騎(日体大・投)
佐野如一[関東・北海道]=25[4]山中稜真(三菱重工East・捕)
★=編成副部長、☆=グループ長 西武・全国の逸材をくまなくチェック
渡辺久信GMが退団、
潮崎哲也スカウトディレクターが退任し、水澤英樹氏がアマチュアスカウトチーフ補佐を務めることに。
齊藤誠人氏がチームスタッフ、
阿部真宏氏が一軍コーチからスカウトに転身。阿部氏は関東地区担当だが、同地区は昨年より1人増員の計3人となり手厚く逸材の動向を追う。また、昨秋育成ドラフトで7人指名。育成選手は12球団で3番目に多い30人となった。三軍もさらに本格稼働させ、「育成のライオンズ」を推進する。
【2025補強ポイント】今年も貧打が続けば再び野手偏重補強 貧打に泣き最下位に終わった2024年。野手陣の底上げのため将来性、即戦力の野手を同年の支配下ドラフトでは5人指名した。今年、野手の成長が見込めなければ、さらに野手偏重のドラフトになる可能性は高いだろう。3年後の28年にはライオンズが所沢に移転して40年を迎える。記念イヤーに花開くチームづくりを進めていく。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★前田俊郎=15[1]
高橋光成(前橋育英高・投)
☆水澤英樹[北海道・東北]=15[3]
外崎修汰(富士大・内)
(新)齊藤誠人[北海道・東北]
竹下潤[関東]=23[1]
蛭間拓哉(早大・外)
十亀剣[関東]=24[1]
武内夏暉(国学院大)
(新)阿部真宏[関東]
鈴木敬洋[独立リーグ・信越]=22育[2]
滝澤夏央(関根学園高・内)
安達俊也[東海・北陸]=25[1]齋藤大翔(金沢高・内)
後藤光貴[近畿]=25[2]
渡部聖弥(大商大・外)
上本達之[中国・四国]
岳野竜也[九州・沖縄]=21[1]
隅田知一郎(西日本工大・投)
★=アマチュアスカウトチーフ、☆=アマチュアスカウトチーフ補佐