シーズン開幕へオープン戦で牙を研ぐ12球団。頂点に立つためチーム力を高める中で、新たな戦力の見極めも重要な時期だ。ルーキーや新助っ人に移籍選手、さらには一軍実績こそない新鋭と、チームに勢いを与える新戦力の台頭は欠かせない。期待の新星は、この男たちだ。 ※情報は3月16日時点、年齢は2025年の満年齢 巨人・キャベッジ “五番問題”解決の切り札

トレイ・キャベッジ[巨人/外野手/28歳]
主砲を孤立させないための切り札となるか。昨季は四番の
岡本和真が好機で簡単に勝負を避けられたこともあり、得点力は大きく低下した。
阿部慎之助監督が「(アドバイスを)聞く耳を持っているし、最初は結果が出なくてもしばらくは起用する」と明言するのは、課題となった五番打者に新助っ人がピタリとはまってくれることを期待しているからだ。MLBでもトップクラスの打球速度を誇る左のスラッガーだが、打つだけではない。「打撃ではパワー、守備では積極性、走塁ではスピードを見てもらいたい」と攻守走で自信をみなぎらせている。
阪神・ネルソン 高奪三振の快速リリーバー

ニック・ネルソン[阪神/投手/30歳]
オープン戦4試合で防御率7.36と結果は出ていないが、新しい環境に慣れるため試行錯誤しながら開幕には間に合わせる。3月12日の
西武とのオープン戦(ベルーナ)では1回2失点。マウンドの高さに違和感を覚えチェンジアップが浮いて痛打された。一方で2つの三振を奪い、奪三振率は14.73。MLB時代も158キロのフォーシームとスライダーを武器に9.45を誇った。開幕までに日本のマウンドに順応してセットアッパーの位置に入り、強力投手陣をさらに強固とする。
DeNA・篠木健太郎 豪腕ストレートでねじ伏せる
躍動感あふれるダイナミックなフォームから、浮き上がるような直球を投げ込むドラフト2位ルーキー。圧巻だったのは3月5日の
広島とのオープン戦(横浜)、4回から三番手でマウンドに上がると、回をまたいだ5回には決め球はすべて直球で3者連続空振り三振に斬って取った。今季は中継ぎでの起用が見込まれ、昨季、チーム防御率はリーグ5位、チーム救援防御率は同5位のDeNAに、これまでいなかったタイプとして活躍してくれそうだ。
広島・常廣羽也斗 静かな闘争心を宿す剛球
2024年ドラフト1位で入団し、昨季は9月に初登板&初勝利。力強いストレートとフォークを武器に、ゾーンで勝負できる、次世代のエース候補だ。今春は侍ジャパンに初選出され、3月5日のオランダとの強化試合第1戦(京セラドーム)で9回に登板、三者凡退で試合を締めた。先発ローテ入りを巡る競争の中でも「まずは自分の球を投げるとか、ケガしないとか。そういうところをしっかり」。静かな闘志を秘め、2年目を飛躍のシーズンとする。
ヤクルト・荘司宏太 魔球で救援陣の負担軽減へ
社会人・セガサミー時代から救援起用で場数を踏んできた即戦力左腕。オープン戦は4試合連続無安打無失点。勝負球のチェンジアップは、最速150キロの直球との緩急で打者のタイミングを狂わせる魔球となる。昨季、チームは先発投手の平均投球回が12球団最少だった。「争いに勝ってシーズン通して投げられたら」とフル回転の活躍で、勝利とブルペン陣の負担分散にも貢献してみせる。
中日・マラー 先発ローテ確定の長身左腕

カイル・マラー[中日/投手/28歳]
201cmの長身から150キロ前後の真っすぐと多彩な変化球を投げ込む。3月8日の
日本ハムとのオープン戦(エスコンF)で5回を5安打1失点に抑え、開幕先発ローテに当確ランプが灯った。同16日の西武とのオープン戦(バンテリン)も6回を5安打2失点。
井上一樹監督も「野球脳が優れている。飲み込みが早い。シーズンを通して頼むよ、という気持ち」と高評価。
小笠原慎之介(現ナショナルズ)のメジャー挑戦で空いた先発左腕の穴をしっかりと埋めてくれそうだ。課題は制球力とスタミナになるが、大崩れするタイプではなさそう。絶対的エースの
高橋宏斗とともに二本柱として活躍し、低迷するチームを救う救世主として期待が高まっている。