一軍の舞台での「.300」が高い壁となっている中でも、その壁を乗り越える可能性を感じさせる逸材がそれぞれのチームにひしめいている。各球団担当が「彼こそは」とオススメする未来のスター候補たちを紹介していこう。 ※年齢は2025年の満年齢、年数は育成選手も含め入団からもの ※成績・情報は8月31日現在 写真=BBM ソフトバンク・石見颯真 ドラフト5位の安打製造機
シェアな打撃と高い選球眼が魅力のドラフト5位で入団した高卒1年目の内野手。4月までは二軍戦で9試合に出場し打率.158、出塁率.238、7三振、2四球とプロの洗礼を浴びたが、5月以降は32試合に出場し打率.298、出塁率.439、21三振、22四球と持ち味を発揮。高卒ルーキーとしては十分な成績を残している。
特に三振率は4月まで30.4%だったが、5月以降は19.6%と大幅に改善されており、武器である高いバットコントロールを見せている。右に左に安打を打ち分ける高い打撃技術も兼ね備えているため、将来的には
柳町達のような広角に打ち分ける中距離打者としての活躍が期待されている。
日本ハム・宮崎一樹 三拍子そろう「ポスト・松本剛」
184cm86kgのがっしりとした体格の右の強打者。遠投120メートルの強肩、50メートル5秒91の俊足と身体能力は高く、トリプルスリーを望めるポテンシャルを備えている。しかし、昨年は一軍でプロ初安打も4試合で降格。今年も6月に一軍に昇格し5試合に出場したが、やはりヒット1本に終わった。二軍でも昨年は打率.243、今年も打率2割台前半に落ち込み目立つ結果を残せていない。
育成の理想像は、同じく三拍子そろった右打者で、2022年首位打者の
松本剛と言えるだろう。宮崎自身も二軍調整中の松本にアドバイスを求めたという。身近なモデルケースからブレークのきっかけをつかみたい。
オリックス・横山聖哉 俊足強打の吉田正尚の後継者
高校通算30本塁打を放った俊足強打の2024年ドライチスラッガー。
吉田正尚(現レッドソックス)の背番号34を継承したことからも球団の期待の高さがうかがえる。高卒1年目は5月に一軍デビューして即スタメン起用されると、俊足を生かし内野安打でプロ初ヒットを記録したものの、12試合の出場で打率.150に終わった。
シーズン終了後は台湾のウインター・リーグに参加。2年目の今季は二軍で26試合に三番起用され6月以降は打撃上昇中だ。7月20日に右肩痛の
紅林弘太郎に代わって今季一軍初昇格を果たし、代打で2試合出場も8月3日に登録抹消。天性の打力に投手経験がある強肩も武器とし、「トリプルスリーも狙える逸材」は進化の途中だ。
楽天・吉野創士 開花間近の中長距離ヒッター
未完の大器がついに花開こうとしている。スイングスピードの速さと打撃センスが高く評価され、昌平高から2022年にドラフト1位で入団。3年間は体づくりを中心にトレーニングに励むと、昨季から徐々に打球の質が変わり始めた。センター方向に打ち返すのが持ち味だが、逆方向にも打てるのが魅力。中長距離ヒッターとして期待されており、内野の頭を越える打球をさらに追い求めていく。
まだ一軍出場はないものの今季は二軍で開幕から安打を重ね、すでに出場数は自己最多。二塁打はイースタン2位タイ(規定以上)の20で長打率は.351。打率も2割中盤を維持しており、一軍デビューはそう遠くないはずだ。
西武・佐藤太陽 シュアな打撃で一軍でも月間MVP

西武・佐藤太陽[内野手/23歳/1年目]
「打撃が入団当初から伸びてきた」。7月25日に支配下昇格を果たした育成ドラフト2位・佐藤太陽を、
広池浩司球団本部長はこう評価した。イースタンで6月に月間打率.300をマークすると、7月は同.381でファーム月間MVPを受賞した。「7月はムダをなくすというテーマで打撃フォームを変えた時期だったので、不安もありましたが、長打も打てるようになりましたし、それが受賞という結果につながったことは良かったです」。
8月5日の日本ハム戦(エスコンF)では一軍でプロ初安打も放った。将来的には「一軍でも月間MVPを獲得する」という目標もある。一歩ずつ、夢に向かって進んでいく。
ロッテ・アセベド 支配下登録された195cmの舶来砲

ロッテ・アセベド[外野手/23歳/1年目]
ドミニカ共和国出身でMLB経験はない。今季、育成契約でロッテに入団するとイースタンで一時は4割を超える打率をキープし、日本野球への適応力を見せた。フレッシュオールスターでは3打席で出塁するなど、大舞台に動じないメンタルもある。
195cmの長身からのスイングスピードは速く、走力もあり、将来は一軍でのトリプルスリーも夢ではない潜在能力の持ち主。7月25日には支配下登録され、背番号が140から69へ変更となった。課題はムラッ気の多さ。4月下旬から5月上旬にかけ、21打席連続ノーヒットを経験した。集中力を切らさずにコンスタントに安打を量産できれば、一軍デビューは近い。
【番外編】オリックス・イチロー
高卒2年目、ブレーク前夜となる1993年のイチロー。前年の打率.366でのウエスタン首位打者に続き、この年も規定打席未達ながら.371をマークするも、一軍の舞台では結果が残せず。希代のヒットメーカーにも力を蓄えていた時期があった。