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【2018年に輝きを放つ若手】12球団の“秘密兵器” パ・リーグ編

 

定位置奪取とはならずとも、素質が光る若き逸材は各球団に潜んでいる。ここでは編集部がイチオシする今季中にブレークが予想される12球団の“秘密兵器”たちを一挙に掲載しよう。
写真=BBM ※成績・記録は3月11日現在

楽天・西巻賢二 コンパクトな打撃


一軍昇格予想時期! 開幕一軍もあり!


 誰もが驚く快進撃を続けている。沖縄・久米島でスタートした春季キャンプでは、当初二軍スタートが決まっていた。だが、レギュラー二塁手の藤田一也が1月に左ふくらはぎを負傷したことで二軍に回った。その代役として抜てきされたのが、このドラフト6位ルーキー、西巻賢二だった。

 まずは得意の守備でアピールした。初の対外試合となった2月14日の韓国・KIA戦(金武)では、途中出場で二塁、遊撃を守る。中堅に抜けそうな当たりをスライディングキャッチし、自慢の強肩で一塁へ送球。侍ジャパン高校代表で見せた鉄壁の守備は、プロでも通用するレベルだ。

 打撃も「想像以上」と梨田昌孝監督をうならせている。小柄ながらフリー打撃ではパンチ力も披露。プロの球は「回転数と伸びが違う」と驚きながらも「しっかり振ることを意識している」と対策を練る。二塁の守備から途中出場した3月4日の中日戦(ナゴヤドーム)では、9回の初打席で右中間を破る打球で一気に三塁へ。まさに攻守走で躍動中だ。

「いいものを持っている。盗めるところは盗んでいく」。3月8日、一軍に合流した名手・藤田もその才能を認める。故障明けの遊撃手、茂木栄五郎も一軍合流間近で、開幕を前にレギュラーがそろいつつある。それでも、2年前のオコエ瑠偉以来となる楽天高卒新人野手の開幕一軍入りは手の届く位置にある。

ソフトバンク・古谷優人 鋭く曲がるスライダー


一軍昇格予想時期! 救援陣に疲れが出始める夏場以降


 反骨心が原動力だ。昨季最終戦で一軍昇格するも登板機会に恵まれなかった左腕は、2年目の今季、「必ず一軍」と意気込む。昨秋に発覚した胸郭出口症候群による左腕の血行障害の治療で、手術を回避し、投薬を選択したのも「チャンスを逃したくない」から。今春のキャンプでもリハビリ組から最後はA組(一軍)まで上り詰めた。

 最速154キロの直球とキレのあるスライダーで打者に的を絞らせない。また、投手らしい勝ち気さも古谷の代名詞だ。先にA組昇格を果たした同期の長谷川宙に「負けたくない」と練習試合では150キロ超を連発。それでも力の入れ具合は「7、8割くらい」とサラリと言ってのけた。

 戦況、体力ともに厳しくなった夏場以降、必要となってくるのはチームに勢いをもたらす新風。存在感を示せば一軍定着も夢ではない。

西武・鈴木将平 積極的な攻守走


一軍昇格予想時期! チーム状況によって


 昨秋から、一気に評価を上げているのが、2年目外野手の鈴木将平だ。昨季は高卒新人ながら二軍戦で101試合に出場、打率.280、32打点の成績を残し、一軍の秋季キャンプに帯同。「ものすごくいいものを持っている」と、その打撃が辻発彦監督の目に留まり今春キャンプもA班に抜てきされた。

 体の強さが大きな武器で、量、内容とも厳しい練習をすべてやり遂げてきた。また、「一度言えば、同じミスを繰り返さない」と、コーチ陣も絶賛するほど吸収力は抜群。盗塁も昨季二軍ではチーム一を誇るなど、走力も実証済みである。いかなる投手にも臆することなくバットが出る思い切りの良さも魅力で、近い将来、外野レギュラーに君臨できるだけのポテンシャルは十分だ。

オリックス・山崎颯一郎 角度のある直球


一軍昇格予想時期! 不振&故障者が出た球宴前後


 ポテンシャルの高さを示している。昨季は二軍で6試合に登板して2勝1敗、防御率4.63。イニングを重ねた試合終盤には痛打を浴びたが、下半身強化でスタミナが向上。10月のフェニックス・リーグでは完封を含む2勝と、課題を早々に改善した。

 最大の武器である角度のある直球に落差の大きなカーブを交える投球を見た高山郁夫投手コーチは「指にかかったときのボールは素晴らしい。まだ体ができていない中であのボール。末恐ろしい。エースになれる素材」と絶賛。今春キャンプは一軍スタートも、右足首を痛めて二軍での調整が続くが、シーズン中の一軍デビューの可能性も十分にある。

日本ハム・森山恵佑 パワフルなスイング


一軍昇格予想時期! 開幕ロースター入りが濃厚


 外野&一塁のレギュラー争いのダークホース。もうその言葉は過去のものになろうとしている。プロ2年目の若きスラッガーが実力でポジションを奪う勢いで猛アピールを続けている。ここまで多くの実戦でスタメン起用され、打率は4割を大きく超え、自慢の長打力でホームランも2本をマーク。栗山英樹監督も「本当に成長している」と目を細め、2018年シーズンの戦力構想の青写真にはっきりと森山の存在も描いているはずだ。昨年はイースタン・リーグで本塁打王にも輝いた左の和製大砲。黄金ルーキーの清宮の陰で目立ちはしないが、この男にいま大化けの予感が漂っているのは間違いない。

ロッテ・菅野剛士 鋭いスイング&積極性


一軍昇格予想時期! 開幕直後から外野の一角を狙う


「振っていけることが自分の強み」と胸を張り、井口資仁監督も「積極性が彼の持ち味」と目を細める。ドラ4ルーキーが春季キャンプで評価を急上昇させ、外野陣のレギュラー争いを活性化させている。

 明大時代には六大学リーグ記録となる28二塁打を放った「ミスター・ダブル」。171センチの小柄な体躯だが、スイングは鋭い。その片鱗を見せたのが2月22日、北谷での中日との練習試合だった。初回に右中間へ適時三塁打を放つと、7回にも今度は左中間へ適時三塁打。「野手の間を抜く、追い求める打球が打てた」。開幕一軍は射程にとらえている。自慢の打撃でその先のレギュラーの座をうかがっていく。

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