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堀口文宏が選出!ライオンズALL TIME BEST9

 

あさりど・堀口文宏


「セカンドが一番、悩みました」


歴史を彩った伝説の名プレーヤーから今季の快進撃を支える現役選手まで、時代関係なく最強のオーダーを組むならば?ドリームチームの構成を大のライオンズファンでテレビ埼玉『LIONS CHANNEL』のMCも務める堀口文宏さんに思う存分語っていただいた。
取材・構成=小林光男、菅原梨恵 写真=BBM

 今回、成績などの資料をあまり見ずに、僕の印象に残っている選手、好きな選手を独断と偏見で選びました。ものすごく悩んで決めた僕のスターティングオーダーがこちらです。

 さっそく、見ていきましょう。

「一番・遊撃」の松井稼頭央選手は存在感も成績も抜群です。トリプルスリーも達成しましたし、足が速いとか守備がうまいとかのイメージが強いですが、本塁打もめちゃくちゃ打つ。そして、スター性があり華やか。今年、日本球界で18年目、43歳を迎えますが、華やかさは消えることなく、今もキラキラしています。

SS/松井稼頭央[1994〜03、18年〜]試1165、安1435、本150、点570、盗306、率.309


 二番、三番は迷いました。守備位置も打順もです。結果、今回は秋山翔吾選手をレフト、秋山幸二さんをセンターに置きました。秋山幸さんは寡黙さがいいんです。男として惹かれる。それなのに、日本シリーズでバク宙。中川充四郎さん(当時の文化放送『ライオンズナイター』コメンテーター)の助言らしいのですが、キャラじゃないでしょ。でも、提案を取り入れやってしまう。周りの声にも耳を貸せる方なんだなと思いました。秋山翔選手はまだ未来がある選手。今後、さらに成長してもらって「西武のセンターといえば秋山翔吾」と誰もが認める選手になってもらいたいです。

 清原和博さんはやっぱり四番。「四番・ファースト・清原」っていうアナウンスが耳に残っているんですよね、僕らの世代は。高卒1年目からとにかくすごかった。また、場面によっては右打ちなどチームバッティングにも徹する。記録には残らない貢献度が高いですね。

1B/清原和博[1986〜96年]試1403、安1353、本329、点915、盗58、率.277


「五番・DH」には中村剛也選手。16シーズンで本塁打王6回ですよ!今年で35歳になりますが、まだまだ元気な中村選手が見たい。ホームランでファンを沸かせますし、相手も嫌がる。そういう人ってなかなかいないですよね。クリーンアップを打ってほしいと思いました。

「六番・右翼」のテリー(テリー・ウィットフィールド)は、僕が小学生でライオンズを好きになった当時の選手。左打ちの外国人選手はインパクト大でした。ヘルメットにマツヤニをいっぱいつけて、黒っぽくなっていた。それも子ども心にかっこよかったですね。1983年の日本シリーズでの記憶もすごくある。第7戦で逆転二塁打を放ち、強い巨人を倒してくれた。しっかり活躍したイメージです。

「七番・三塁」には石毛宏典さんです。強くなり始めてからのチームリーダーといったら石毛さん。若手選手が入ってきてポジション変更を余儀なくされてもしっかり順応するんですよね、プライドもあるはずなのに。チームのことを考えて行動する姿に若手選手は学ぶものが多いと思います。

「八番・捕手」は伊東勤さん。伊東さんがいなかったら黄金期はなかったと言っても過言ではないですよ。バッティングもすごかった。1994年の開幕戦(4月9日の近鉄戦、西武)での逆転サヨナラ満塁ホームラン。伊東さん推しの僕としては次の日「ほら見たか」と鼻が高かったですね。足もありましたし、守備だけじゃない捕手です。

 セカンドはタレントぞろいで一番悩みました。僕が一番初めにファンになった山崎裕之さんもいますし、片岡治大さん、高木浩之さん、浅村栄斗選手……。たくさんの候補の中から辻発彦さんを選びました。最後、辻さんか片岡さんで迷ったんですが……やっぱり辻さんは守備が堅いですから。まあ、抜けないですもんね。当時は守備位置を意識して見ることはなかったんですが、1球1球、一人ひとりで絶対に変えていたと思います。辻さんの“ポジションニング”をしっかりと見たかったですね。

2B/辻発彦[1984〜95年]試1296、安1195、本49、点428、盗220、率.279


■スターティングオーダー
一(遊) □松井稼頭央
二(左) △秋山翔吾
三(中) 秋山幸二
四(一) 清原和博
五(指) 中村剛也
六(右) △テリー
七(三) 石毛宏典
八(捕) 伊東勤
九(二) 辻発彦
※△は左打ち、□は両打ち

「裏ローテじゃない!豪華な先発陣」


P/東尾修[1979〜88年]試284、勝123、敗103、S6、防3.56


 次は先発ローテーションです。東尾修さんがエースで1カード目の初戦。死球OKでふところをどんどんどんどん攻めてもらう。打者としては嫌ですよね。インコースの印象が強くなったところで2戦目は菊池雄星投手、3戦目は渡辺久信さん。東尾さんのあとに伸びのあるストレートを低めに集める菊池投手が来たことで、頭がぐちゃぐちゃになっている打者は渡辺さんのキレのあるボールは打てないですよ。

 で、2カード目が頭から工藤公康さん、西口文也さん、松坂大輔投手。裏ローテなんて呼ばせませんよ(笑)。工藤さんも強気なピッチャーですが、変化球でいなすこともある。柔軟性がある投手が初戦のほうがいいのかな、と。西口さんはどこで投げても結果を残してくれる安心感がありますね。左(工藤さん)のあと右(西口さん)のスライダーで相手を翻ろうしてもらって最後、本格派の松坂投手で締める。剛速球で空振りの山を築いてもらいましょう。

 中継ぎは右の鹿取義隆さん、牧田和久投手、森慎二さん、左が永射保さん、高橋朋己投手と、ちょっとクセのある変則投手ばかり選んでしまいました。そして抑えに豊田清さんです。豊田さんが出てきたら負けない。投げる前にセンターを向いて胸に手を当て精神統一をしてから振り返る、あのルーティンが好きでした。森さん―豊田さんのリレーもいいですね。高橋投手は中継ぎも抑えもできるポテンシャルの高さがあります。スピードガン以上の球速を打者に感じさせる技術も素晴らしいですね。

■投手スタッフ
[先発]
東尾修
△菊池雄星
渡辺久信
△工藤公康
西口文也
松坂大輔
[中継ぎ]
鹿取義隆
牧田和久
森慎二
△永射保
△高橋朋己
[抑え]
豊田清
※△は左投げ

「まさにドリームチーム。そして、監督にはあの方を……」


 控え野手は、代打では大田卓司さん(右打ち)、金森栄治さん(左打ち)の黄金期の必殺仕事人と死球王。大田さんの泥臭いプレースタイルは黄金期の西武に合っていましたね。金森さんは“何かを起こす”。デッドボールが多かったのは、何としてでも塁に出ようと最後までボールを見た結果、避けられないから、らしいです。出塁への執念ですね。

 代走、外野の守備固めには羽生田忠之さん、内野の守備固めにはどこを守らせても大丈夫な上田浩明さん。特に「オレの生きる道はここだ」と言わんばかりの上田さんの鉄壁の守備。ベンチにいたら助かること間違いなしです。

 そして残り3人は、片岡治大さん、行沢久隆さん、栗山巧選手。片岡さんも内野ならどこでも守れますし、盗塁王の足もある。行沢さんはベテランの力。的確な状況判断でチームを助けてくれるでしょうし、“ピンチバンター”の役割も。栗山選手の高い出塁能力も欠かせない。片岡さん、栗山選手はレギュラーに入る力もありますから。

■控え野手
大田卓司
△金森栄治
□羽生田忠之
□上田浩明
片岡治大
行沢久隆
△栗山巧
※△は左打ち、□は両打ち

 そして監督は……野村克也さん。晩年、在籍し、西武でユニフォームを脱ぎましたから。ID野球も徹底的に駆使してもらいましょう。

 これで僕の夢の最強チームが完成しました! いやあ、ワクワクしますね。この戦力なら100勝以上は可能でしょう。このレジェンドたちの中に今後、現役選手がどれだけ食い込んでくるか。妄想はまだまだ止まりませんね。

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