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いまだに全盛期に近い動きを見せているイチロー。40歳を過ぎて同じ動きを出すには節制と気力しかありません。いやすごいです/写真=Getty Images
メジャーの日本開幕戦がいよいよ3月20、21日に行われます。アスレチックスとマリナーズが来日しますね。マリナーズにはあのイチローが在籍しています。今回の週刊ベースボールでは彼の特集を組むそうです。そこで今週はイチローの話をさせてもらいます。
彼がスターに登り詰めたとき、私はすでに
巨人に移籍していましたので、オープン戦での対戦しかありません。しかも2打席だけです。しかし、その2打席だけでも彼の才能のすごさは十分に感じられました。捕手から見て端的に言えば「打ち損じを待つ」しかなかった打者でした。
タイミングをズラそうとしてもしっかりバットに当てますし、どんな変化球にも体を崩されることなく完ぺきについてくる。無敵な打者でしたよ。そんなイメージしか僕にはないです。
個人的には……一度、
中畑清さんなどと一緒に、彼が当時あこがれていた女優さん(その女優さんの元旦那さんと私は仲良くさせてもらっています)と一緒に焼き肉店に行ったことはあります。かなり前ですから、詳細は覚えていないのですが、イチローに「デーブさん、ピーマンは焼いたほうがやっぱり美味しいですよね」と何でもない会話をしたことは覚えていますね。
その後は、私が解説者時代にメジャーへ取材に行ったときです。以前にも話したとは思いますが、ニューヨークでのことでした。レストランで夕食をとっていたときに隣席に偶然にも
松井秀喜がいました。彼に小さいころ毎日何本バットスイングしていたのかを聞いたときに「1000本」と答えました。翌日は
ヤンキース対マリナーズでしたのでイチローに同じ質問をしたら「2000本」という答えが返ってきました。「オレの500本は足りないな」と思ったというエピソードです。
そのほかにはイチローがメジャーのオールスターに出たときの会見で、私が「イチロー選手にとってメジャーのオールスターとは?」という質問をしました。このとき彼は10秒くらい黙った後、「これが本当のオールスターですかね。それ以上は……察してください」と言われたことは今でも記憶に残っています。
そんな彼も45歳だとか。バリバリ動けていますよね。タダ者じゃないと思いますね。何よりも、この年齢でメジャーのほかの選手と対等に動くには、かなりの節制が必要だと思います。歳とともに代謝が悪くなるのが普通の人間です。それを若者と同じように動かすためには、食事での管理が大事になります。それをやり続けるって信じられないですよ。
その節制を続ける秘訣。これは「気力」がないとできないのです。それができてしまうイチローは、すごいとしか言いようがないですね。まさに「生ける伝説」じゃないかと思っています。