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広島・小園はすごくいい選手です。球団が彼をどう育成するか楽しみです【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

私の中では広島・小園に関して1カ所修正したいのですが……広島はそこをいじらず、じっくり見ていくようです。その育成法に注目です/写真=早浪章弘


 開幕まで約2週間を切りましたね。メジャーの開幕戦もこの週刊ベースボールが発売された水曜日と翌木曜日に行われていますね。本当にシーズイン間近です。

 今年の高卒新人は入団前から騒がれました。中日の根尾(根尾昂)にロッテの藤原(藤原恭大)、日本ハムの吉田(吉田輝星)。その中で、現在一番輝いているのが広島の小園(小園海斗)ですね。

 私もキャンプで見てきました。すごくいい選手です。実際にプレーを見て、さらにいい選手だと感じました。その中で私が一番注目したのが、広島という球団の育成法です。現在、広島のショートには田中(田中広輔)というしっかりとしたレギュラーがいます。そういう事情もあるとは思いますが、長〜い目で小園を育てよう、という意思がハッキリと伝わってきました。

 彼の打撃を見ていたのですが、ほぼ何も言うことがありません。がしかし、私が打撃コーチなら1カ所、修正したいポイントがあったんです。私がそう思うのであれば、現場の打撃コーチ陣も分かっていると思います。でも、それも注意しないようです。もっと違う次元で、自分の思ったとおりにやらせようという考えがあると思いました。

 広島では、ほかにもある選手が私の目に留まりました。その選手の守備で、1つ欠点が気になりました。期待されながらもなかなか結果が残せず、チャンスを与えられていながらも克服できない状況で、ほかの球団なら、あきらめてしまうような選手なのです。

 しかし、山田(山田和利)内野守備・走塁コーチは「あいつはめちゃくちゃ努力してるんだよ。すごいんだよ」と私に力説してくれました。

「何てファミリー的な球団なのだろう」と感動しました。よくよく名鑑を見ると首脳陣の全員が広島でプレーしたことがある方々ばかり。球団がコーチ陣もしっかりとサポートしているということが分かります。そうなるとコーチ陣の中に「手柄を立てたい」というような人は出てこなくなりますよね。あくまでもチームのために選手側に立つようになります。

 そうなると選手たちが育つまでジックリ見られるわけです。育っていく過程が分かるから、一軍にもしっかりとした報告がいく。そうなると一軍でもきちんとした指導が行き渡る。そこに強さの秘訣があるのだろうと思いましたね。

 そこも球団の考え方のひとつだな、とも思いました。広島は、長い歳月をかけて強豪チームに返り咲きました。すぐに強くなろうと思ったら、失敗があればコーチ陣もすぐに交代させるチームだってある。それを我慢して使い続けて成果が出た。コーチ陣も我慢してもらえるから腰を据えて選手たちを教えられるという好循環が生まれるわけです。

 そういう育成をする広島に入団した小園。どう成長するか興味がありますし、球団がどういう育成をしていくのかが、すごく楽しみです。

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