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5年目の準備とリフレッシュ「犬と猫に癒される時間で心をしっかり休めつつ、キャッチボールを丁寧にして2024年へ進んでいきます」【宮城大弥の一生百錬 僕が僕であるために】

 

「〇日に体を万全に」という次の登板日が決まっていないオフは、心に余裕を持ちながら、自分の体を見つめ直しています


『丁寧』にする意味


 あっという間の1年。2023年も残りわずかとなりました。僕もオフシーズンを過ごし、休みつつも、鍛錬を重ねています。

 鍛錬と表現すれば、どこか厳しいトレーニングを積んでいるように聞こえるかもしれませんが、今の時期は出力うんぬんではなく、フォームをしっかり固め直すこと。何球投げても出力が落ちないようにする。そういう練習がメインです。23年は悔しい思いをしたので、その思いを何度もしたくない。だから、投げミスだけはしないように、キャッチボールから丁寧にやっています。

 フォームを固め直すというのは、『改良』という意味ではなく、感覚を再チェックしているんです。長いシーズンを投げ抜いたあとは微妙なズレもある。シーズン中だって、体がいつも同じコンディションではないし調子も違う。球場によってマウンドの感覚も変わってきます。そう感じれば、心も微妙に変化が生まれてくる。そうしたことでフォームの感覚に微妙な違いが生まれ、ズレが生じていくんです。シーズン中にズレを感じる幅を最小限にとどめるためにも、見直しは必要。『鍛錬』よりも『メンテナンス』の意味合いが強いかもしれません。

 投球フォームの見直しの基本はバランスです。僕の中での理想的な形はソフトバンク和田毅さんで、一つひとつの動作と連動がとてもキレイ。この『動作』と『連動』の考えを僕は持っていて、『動作』は、投球フォームを次のように『[1]』〜『[5]』で分けて考えているんです。

[1]始動から足を上げる
[2]上げた足を下ろす
[3]テークバックからトップ
[4]トップからリリース
[5]リリースからフォロースルー

 この5項目を1つずつ切り離して考え、それぞれしっかりとした動きができているかをチェックしているんです。すべての項目、動作がしっかりできれば、狙ったコースに投げることができるし、微妙なコントロールミスが生じても、ストライクゾーンに投げられるイメージがある。投球フォームの見直しと言っても、動作[1]をチェックするだけではダメだし、[2]だけでもダメ。[1]〜[5]がそれぞれしっかりできれば、バランスの良いフォームになっていくんですよね。

 ここまでを聞けば『連動』の意味を分かった方もいると思います。連動は切り離してチェックした『[1]〜[5]』を、1度の動作で『連動』できるか。1球1球投げるたびに見直しているんです。『キャッチボールを丁寧に』の意味を細かく説明すると、こういうことなんですよね。

 だから、キャッチボールの途中、フォームを止めて投げるのをやめることもある。『[1]〜[5]』の動作の中で、バランスが崩れたときは、投げることをやめるんです。[1]をクリアしても、[2]で形が崩れてしまえば、[3]以降は良い形にはならないので、良い球は投げることができません。それなのにボールを投げてしまえば、変なクセがついてしまう可能性もあるんです。微妙なズレを直すどころか、悪化してしまうこともあるので『崩れた』と思ったら無理に投げないようにしています。

 オフは試合がないからこそ、より丁寧なキャッチボールをじっくりできる時期。次の登板日が決まっているわけでもないので、中6日で調整というのもない。2月から始まるキャンプに照準を合わせているだけですから。

愛犬・愛猫の名前は……


11月の高知キャンプ


 休むことも大事な次への準備です。体は練習メニューのメリハリをつけて、休ませつつも鍛えていく。そうしてオフにリフレッシュしていきますが、心も同じような感じ。ここからは僕の心のリフレッシュの仕方を話しましょう。

 1週間で6日間練習、1日の休日があるとします。休日だけは野球のことは考えません。これはシーズン中も同じこと。だから『シーズンオフの時期だから』というのは特にないですし、今までどおりの生活リズムを送るだけなんです。

 そんな話をすると、『休日に何をしているのか』とよく聞かれるんですが……、別に『コレ』というものもないですし、決めることもない(笑)。ただ、最近の癒しは、自宅で飼っているペットと一緒に過ごすことなんです。犬と猫を一匹ずつ飼っていて。名前は、犬が『マシュ』で、猫が『マロ』。自分で名付け、2匹合わせて『マシュマロ』です!!(笑)。よくペットを2匹飼っている方が、ペアリングできるよう、2匹合わせた名前を付けていて、いいなって思ったので、僕も『マシュ』と『マロ』で『マシュマロ』にしました。猫の『マロ』は気分屋なのですが(笑)、犬の『マシュ』は、めちゃくちゃ近くによってくる。本当に可愛くて、一緒にいる空間が僕の癒しなんです。そんな野球のことを忘れられる時間があるからこそ、野球としっかり向き合えるんですよね。

 リフレッシュの仕方は人それぞれ。正解はないですし、野球のことを忘れず、考えながらリフレッシュする人もいます。ペータ(山下舜平大)なんか、ずっといろんなピッチャーの動画を見たりしていますから。あっ、そう言えば、この前、ペータが「マシュとマロに会わせてください!」と言ってきたんです。「いいよ」と言ったのに、全然、僕の家に遊びに来ない(笑)。「今日来る!?」と電話をしても、「あっ、今日はトレーニングっす」って……。アイツはきっと、最初から遊びに来る気がなかったんだと思います(笑)。

 まあ、時間の使い方もそれぞれですよね。それに、僕も休みの日に『野球の話はNG』というわけでもなく、考えないようにしているのは自分がプレーしている姿だけ。だから、クレ(紅林弘太郎)と一緒にいても、「最近、調子どう?」なんて相手のことを聞くこともある。野手の考えを聞くことも勉強になりますからね。ただ、そうなると僕の調子を聞かれる可能性も……(笑)、そのときは話題をそらすのみ! 寮生活のとき、クレと一緒に過ごしているときなんか、野球の映像が流れると「気分じゃない!」と勝手にチャンネルを変えることもありましたから(笑)。気を使わない間柄だからこそ、オフの時間も一緒に過ごせるんですよ。

 そんなこんなで24年のプロ5年目に向けた準備をして過ごしているオフ。24年は、23年よりも5勝プラスして15勝を挙げるために、有意義な時間にしていきます。23年も残りわずか。皆さんも、心と体をリフレッシュして、良い年をお迎えください! 次回のコラムは1月となり、話の内容も少しオフシーズン仕様に変えていきますので、24年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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