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ペナントの行方を左右する新外国人。巨人に新しく加入したオドーアはメジャー178本塁打と喧伝も不安あり【伊原春樹の野球の真髄】

 

巨人の新外国人オドーアだが日本で結果を残すには確実性が足りないか[写真=Getty Images]


 キャンプインを目前に控えているが、12球団で注目点の一つは新戦力になるだろう。戦力補強は移籍、新人、新外国人が主になる。その中でもチームを浮上させる大きな力となるのは新外国人だ。助っ人の力がペナントの行方を左右すると言われて久しい。しかし近年、外国人が日本で結果を残せていない。

 昨年も多くの外国人が日本でプレーしたが、合格点を与えられるのはわずかだ。外国人打者で規定打席に到達したのはセ・リーグがD.サンタナ、J.オスナ(ともにヤクルト)、S.ノイジー(阪神)、パ・リーグがD.マキノン(西武。現韓国/サムスン)、A.マルティネス(日本ハム)、G.ポランコ(ロッテ)の計6人。しかも、ベスト10に入ったのは打率.300のサンタナのみとは非常に寂しい限りだ。

 外国人投手では規定投球回に到達したのはセパでゼロだった。最も勝利を挙げたのはT.バウアー(DeNA。現所属球団未定)の10勝。2位はN.ターリー(広島。現楽天)、サイスニード(ヤクルト)の7勝だ。ターリーはリリーフだったが、それ以外のリリーフではR.マルティネス(中日)が32セーブ、J.B.ウェンデルケン(DeNA)が35ホールドポイント、ロベルト・オスナ(ソフトバンク)が26セーブ、L.ペルドモ(ロッテ)が42ホールドポイントと結果を残しているが、やはり先発陣の凋落が目につく。

 今年も新外国人の獲得が続々と発表されたが、期待感をあおる報道のされ方が多かった。例えば1月22日に巨人入団が明らかにされたR.オドーアだ。「メジャー通算178本塁打の大砲」という枕詞が躍った。確かにレンジャーズ時代の2016年に33本塁打をマーク。翌17年も全162試合に出場して30本塁打。19年も30本塁打をマークするなど、シーズン30本塁打以上を3度、15年から8年連続シーズン2ケタ本塁打を記録している。

 しかし、それは“過去”の数字だ。昨年はパドレスで59試合の出場にとどまり、打率.203、4本塁打、18打点に終わっている。それと、私が新外国人打者を評価する際に見る数字は三振数だ。オドーアは19年にリーグワーストの178三振を喫するなど、通算1045三振。三振率は約24%に達している。通算打率も.230だから、やはり確実性の面で不安があるのは間違いない。近年の投高打低の傾向を考えても、過剰な期待には「?」がついてしまう。

 新外国人投手に関しても例えば「最速160キロ!」といった枕詞が紙面をにぎわすが、やはり重要なのはそれをいかにコントロールできるか。それにメジャーでの直近シーズンの防御率が悪くても3.5くらいなら期待してもいいが、それより悪く、例えば4、5点台なら不安がつきまとってしまうだろう。

 かつてはブーマー(元阪急ほか)、バース(元阪神)、デストラーデ(元西武)、ラミレス(元巨人ほか)ら日本球界を席巻する外国人が数多く生まれた。今年こそ、そのような助っ人が現れることを願いたいが、果たして――。

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