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オレ流日本プロ野球史上ポジション別最高峰を言うと……世界最高峰は間違いなく投打二刀流の大谷翔平だけどね!【堀内恒夫の悪太郎の遺言状】

 

巨人のエースだった筆者[右]が歴代最強に推す投手は1966年に沢村賞を分け合った村山だ


大卒で唯一通算200勝の村山さん、王さんと長嶋さんは印象が強過ぎる!


 世界で、「最高のピッチャーとバッターは誰だろうか?」と、問いかけられたとしよう。その答えは、どちらも今季からドジャースのユニフォームを着ることになった投打二刀流の大谷翔平であることは間違いない。

 しからば「日本のプロ野球史上で、最高のピッチャーは誰か?」。それは間違いなく、ロッテ佐々木朗希だろうね。しかし、佐々木朗はあくまでも潜在能力に限った話で、まだ「大投手」と呼べるような実績は残せていない。だから俺は、焦って「今季からメジャーへ行きたい!」などとは言わずに「日本で十分な実績を残してから海を渡りなさい!」と諭してやりたくなるね。

 日本で1シーズン200イニングも投げたことのない先発投手が、中4日の登板間隔と1試合100球の取り決めによって投げさせられるメジャーへ行ったところで、ロクなことにはならないだろう。

 まあ、佐々木朗のことは置いておくとして、俺が選ぶポジション別の日本プロ野球歴代最強を書き記してみたいと思う。

 ますピッチャーは、「400勝投手の金田正一さん(国鉄-巨人)が歴代ナンバーワン!」と言いたいところだが、俺は村山実さん(阪神)を挙げたい。プロ1年目の1966年に最優秀新人と最優秀防御率のタイトルを獲得したときに俺は、村山さんと沢村賞を2人で分け合っている。

 村山さんの投げるフォークボールはバッターの外側、真ん中、内側へと、まるでスライダー、フォーク、シュートのように鋭く曲がり落ちていた。しかも、旧制大学卒業の方たちや日米通算の黒田博樹(広島ほか)を除けば、大卒(関大)で200勝以上を挙げているピッチャーはあとにも先にも村山さん1人だけだからね。

 次はキャッチャー。チームメートだったV9戦士の森祇晶さん(森昌彦、巨人)さんをナンバーワンとして挙げたいところだが、歴代2位の657本塁打を放っている野村克也さん(南海-ロッテ-西武)。いや、そうでなければ、俺はあえてオールスターゲームでバッテリーを組んで、福本豊(阪急)の足を封じた田淵幸一さん(阪神-西武)を挙げてみたいと思う。田淵さんは正真正銘の強肩と強打、その両方を兼ね備えた名捕手だったからね。

 ファーストは三冠王を2度獲得した世界の本塁打王・王貞治さん(巨人)しか考えられないだろう。

 王さんを上回る3度の三冠王を獲得している落合博満(ロッテ-中日-巨人-日本ハム)も、素晴らしいバッターであることは間違いない。ランディ・バース(阪神)にしても、外国人史上最多となる2度の三冠王に輝いている。しかし、868本の通算本塁打を放った王さんには敵わないからね。

 次にセカンドは、俺が現役時代に頭部死球を与えるなど、苦手にしていたバックトスの名手・高木守道さん(中日)がナンバーワンで間違いないだろう。古葉竹識さん(南海-広島)も、体は小さいけど、本当にミートのうまいバッターだった。セカンドは、この2人のほかに首位打者を2度獲得している篠塚和典(篠塚利夫、巨人)も、攻守に秀でた素晴らしい選手だった。

 サードは長嶋茂雄さん(巨人)しかいない。もう絶対的な存在だよ。ファーストとサードは、王さんと長嶋さんのイメージが強過ぎるから、もう第三者の入り込む余地はないだろうね。

 長嶋さんを超える存在として期待していた岡本和真(巨人)は、今季から正式にファーストへコンバートされることになった。「いったい阿部慎之助新監督は何を考えているんだ!」と、俺は苦言を呈してみたくなる。

 野球で最も運動能力が必要とされるポジションはショートである。現在も過去にも、いい選手がたくさんいたことは確かだ。とはいえ、俺は自信を持って坂本勇人(巨人)の名前を挙げたい。2019年に全試合にフル出場して、ショートとしては史上2人目のシーズン40本塁打以上をマーク。その3年前の16年には首位打者を獲得したキャリアを併せ持つ。だから文句なしに、俺は坂本を日本プロ野球史上ナンバーワン・ショートに推したい。

 昨季終盤から坂本はサードへコンバートされた。それだけに、坂本を超えるショートが日本のプロ野球界に早く出現してくれることを期待している。

守備ではイチローも真っ青な高田さん、山本さんは間違いなく外野手の最高峰


 外野手に関してはレフト、センター、ライトとポジションが3つしかないから、歴代最強を選ぶにあたっては激戦の様相を呈することになる。

 俺としては、V9時代のチームメートで、レフトを守っていた高田繁さん(巨人)を最初に挙げたい。高田さんは「塀際の魔術師」とまで言われた外野守備の名手だった。外野手としてダイヤモンドグラブ賞(現在はゴールデン・グラブ賞)を4度獲得。現役時代の終盤は、サードへコンバートされたが、内野手としても、ダイヤモンドグラブ賞を2度獲得している。

 外野と内野で、6年連続守備の名手であることを証明する賞に輝いているけど、俺は高田さんには、ずっとレフトを守っていてもらいたかったと思う。とにかくあれだけ外野守備のうまい人はいなかったからね。レフトへフライが飛んでいったら、少しフェンスを越えていても、ジャンプしてスーパーキャッチしてくれた。しかも、レフト線へ打球が行くと、高田さんは強肩だから、打者走者は絶対に二塁ベースまで到達できなかった。

 外野守備に関しては、本当にイチロー(オリックス-マリナーズほか)も真っ青になるくらいの守備力を誇っていたことは間違いない。いまの野球の尺度なら、高田さんはイチローと同じライトを守っていたはずだ。昔の野球は守備のうまい外野手はレフトを守らせることが定石になっていたからね。

 センターは俺の同級生で、13年連続盗塁王に輝き、通算1065個の盗塁世界記録保持者だった福本豊(阪急)という、まさに記録と記憶に残る男がいた。さらに同じく俺の同級生で、「小さな大打者」と謳われた若松勉(ヤクルト)も、忘れてはいけない存在だからね。ライトは、高橋由伸(巨人)も記憶に残る男だった。

 その中でも、「史上最強」と呼ぶにふさわしい外野手は、首位打者を1度、最多本塁打を4度、最多打点を3度獲得している山本浩二さん(広島)だね。浩二さんは、ライトでベストナイン10度とダイヤモンドグラブ賞にも10度輝くスーパースターだ。

 先に記したイチローは、日本ではなくメジャーで超大物の存在感を遺憾なく発揮している。松井秀喜(巨人-ヤンキースほか)にしても、日本で10年、メジャーでも10年と、それぞれ活躍しているけど、やはり海の向こうへ新天地を求めた大物選手だからね。俺の今回のコラムでは、“支配下登録”することはやめておくことにしよう。

 さらに俺は野球に関しても保守本流だから、DHのナンバーワン選出は控えさせてもらうことにしたいと思う。

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