
“駒澤の暴れん坊”と呼ばれた代表格の3人。左から山本、筆者、土橋。山本は63年に近鉄へ移籍
血気盛んな若い衆
終わったばかりの日本シリーズについては、次号でじっくり書くことにするとして、その日本シリーズの前にうれしいニュースが届いた。
大谷翔平(エンゼルス)のア・リーグMVP獲得だ。間違いないとは思っていたが、まさか満票だとは思わなかった。というのも二刀流で大活躍をしたとはいえ、何もタイトルを獲っていなかったからだ。チームの優勝に貢献したわけでもない。
それでも満票だったのだから、それほど二刀流のインパクトが大きかったということだ。打率は.257と物足りないが、46本塁打に26盗塁、投手として9勝を挙げたのだから、たいしたものだと思う。ベースボール発祥の地で認められた意味は大きい。タイトルを獲得した選手たちには気の毒だが、大谷のMVPに誰も異論はないはずだ。
逆に残念なニュースだったのは
鈴木誠也(
広島)のメジャー挑戦だ。何も鈴木が悪いと言っているわけではない。この夏の東京オリンピックでは日本代表の四番を務めた打者だ。そんな日本を代表する選手が次から次へとメジャーへ行ってしまうのが悲しいのだ。こんなことが続いていては日本の野球はどんどん衰退してしまうのではないか。日本で活躍したら、はい、次はメジャーでという流れになっているのが問題だ。日本のプロ野球はメジャーへのステップアップの場ではない。今はまだいいかもしれないが、先のことを考えると危機感を覚える。選手もそうだが、それ以上にNPB(日本プロ野球機構)はもっと日本のプロ野球について真剣に考えてもらいたい。
ところで皆さんは“駒澤の暴れん坊”たちをご存じだろうか。野球に詳しいオールドファンなら聞いたことがあると思うが、若いファンにはピンと来ないかもしれない。これは昔の東映の選手たちに付けられたキャッチフレーズ。私が入団した(1959年)ころの東映は、若くて血の気の多い選手がたくさんいた。代表的な選手が“ケンカ八郎”の異名をとった
山本八郎さん、生粋の江戸っ子でもある土橋の兄(あん)ちゃん(
土橋正幸)、そして私だ。そんな選手たちの自由奔放なプレーが、当時の東映の本拠地で庶民的な駒澤球場にマッチしていたことから、そう名付けられたのだ。今でこそ・・・
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