
落合[右]に打撃指導する山内監督
インハイが打てない
2022年がスタートした。選手はオフの真っただ中で、プロ野球にとってのお正月はキャンプインだから、まだ先になるが、そうそうのんびりもしていられないだろう。特に昨年、成績の悪かった選手は気合いが入っているはずだ。私も現役時代、首位打者のタイトルを逃したときなどは、心の底から正月気分を味わうことはできなかった。
さて、
以前にこのコラムで球界OBのコミッショナー就任を訴えたことがあった。そのときに私が真っ先に挙げた候補者が
落合博満(
ロッテほか)だった。またどこかの監督としてユニフォームを着てもらいたいという声もあるようだが、一方でまさに適任と賛同してくれる読者の方も多かった。そんなことで今回は、落合について私なりの思い出を書いてみたいと思う。
実は私と落合はロッテの先輩後輩という関係でもある。私が
巨人からロッテに移籍した1980年は、落合にとってプロ2年目。社会人からの入団だったから、当時すでに26歳だった。私よりも一回り以上、13歳も年下になる。ちなみにロッテの本拠地、川崎球場でのロッカーは隣り同士だった。
もちろん私は落合のことなど知らなかったのだが、1年目の通算3000安打を達成したあとの7月ごろだったと思う。高畠康真(のち
高畠導宏)打撃コーチに「張本さん、下(ファーム)にいい打者がいるので、一度見てもらえないでしょうか」とお願いされた。選手とコーチの立場だが、高畠コーチは私よりも4歳年下だったから敬語を使っていた。2つ返事で引き受け、川崎球場で見ることになったが、落合はボールを上からたたき、打球の回転もよく、なるほど、いいバッティングをしていた。右方向に打つのがうまく、途中からグングンと打球も伸びていく。
「いい打者じゃないか。どうして下にいるんだ?」
私が隣りで見ていた高畠コーチに聞くと、こんな答えだった。
「山内(
山内一弘)監督が、今のままでは・・・
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