
三冠王でチームも優勝。打者にとってこれほど最高のシーズンはないだろう[写真=桜井ひとし]
56号報道への違和感
この号が発売されるころは日本シリーズの真っ只中だが、原稿の締め切りは開幕前でまだ始まっていない。2年続けて
ヤクルトと
オリックスの顔合わせとなったが、ヤクルトは連覇に挑戦、オリックスは昨年のリベンジといったところだろう。オリックスが日本一になるためには、絶対的エースの
山本由伸が先発する試合で勝利をつかむことだ。一方、ヤクルトのキーマンは
村上宗隆になる。シーズン終盤は不振だったが、調子は上がってきているから、オリックス投手陣は当然のように徹底的にマークしてくるはずだ。山本と村上の対決は、この日本シリーズの大きな見どころ、ポイントの一つと言える。今季両リーグを通じて一番活躍した投手と打者の対決だから、結果がどうあれ楽しみだ。
さて、今回は発表はまだ先だが、MVPについての話をしよう。今年のMVPは山本と村上でまず間違いない。山本は2年連続の投手4冠で村上は三冠王。そしてどちらのチームも優勝している。MVPはプロ野球担当記者の投票で決まるが、おそらく満票ではないか。逆に山本と村上以外に誰がいるのかと聞きたいところだ。それほど今季の2人の活躍は突出している。
少し話が逸れるが、私は村上がシーズン56本塁打を打ったことには、さほど興味がない。もっと言えば、どうしてこれほど大騒ぎするのか不思議でならなかった。それはおそらく
王貞治(
巨人)の55号を超えたからだとは思うが、日本のプロ野球のシーズン最多本塁打は2013年の
バレンティン(ヤクルト)の60本ではないか。その記録を超えたのならまだ分かるが、私に言わせれば56号はシーズン歴代2位、つまりは銀メダル。56号と三冠王、どちらが価値があると思うかと聞かれたら、迷うことなく三冠王と答える。もちろんシーズン56本塁打は立派だし、村上の偉業にケチをつけるつもりはないが、価値があるのは打撃タイトルを3つも獲得した三冠王のほうだと強く言っておきたい。
私が覚えた違和感は・・・
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