夏の高校野球甲子園大会を視察するスカウトたち[主に右上]
少し話を戻し「アマチュアスカウト」と「プロスカウト」で思い出したことから書いていこう。僕はプロスカウトで、アマチュアについてはサポートをしただけだが、それにしてもアマチュアスカウトの仕事も大変だった。
僕らプロスカウトの視察は大方、球場のインドアのエリアで試合を見させてもらえることが多い。しかし、アマチュアスカウトは高校、大学、社会人、独立リーグとどれをとってもスタンドでの視察になる。高校の地方大会、甲子園大会、大学のリーグ戦、都市対抗予選などそのほとんどがデーゲームであり、炎天下やあるいは極寒の気候の中での視察はまさに忍耐力、集中力、体力の勝負だ。
そして、僕の行ったサポートは主に試合視察ばかりだったが、練習視察を含めた学校への訪問はコツコツと日本各地隅々までせっせと足を運ぶ。彼らは金の卵を探し出すために、自分が入手した情報を温め、守りながら明日のスター選手の獲得につなげるために日夜努力を続けている。だから、僕たちプロスカウトは「プロスカウトはアマスカウトより楽だからいいですよね」とよく言われたものだ。まあ、僕はアマチュアスカウトとしての経験はなかったので、なんとも言えないが、僕が退団するシーズンには新型コロナウイルスパンデミックの影響により、プロスカウトはスタンドからの視察のみに制限されるようになり、夏場の35度、36度にもなる気温の下ですべての試合を見なければならなかった。
このとき僕はアマスカウトの人たちの大変さを身をもって体験することになる。「命の危険にさらされる暑さ」などとテレビでは言われていたそんな中で、僕らはその仕事の過酷さを知ったような気がした。
映像だけでは不十分
プロスカウトの話に戻そう。NPB支配下登録選手枠は各球団それぞれ70人、それに育成契約選手も加えると球団によって100人を超えるところもある。各球団によって、数のばらつきはあるが、全球団の選手数をザクッと計算すれば全体数が約900人になる。自チームジャイアンツの選手数を除き、他チームのトレードの対象になるとは考えにくいレギュラークラス15人ほどの選手数を省いた700人強の選手たちをプロスカウトはまずはすべて覚えなくてはならない。
その間・・・
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