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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「あの夏を取り戻せ――甲子園がいかに特別か」

 

新型コロナの影響で甲子園大会が中止された2020年。独自大会で夏の沖縄の頂点に立った八重山高[写真=BBM]


 毎年、6月の声を聞くとソワソワしてくる。沖縄で夏の甲子園を懸けた戦いの幕が切って落とされるからだ。今年は6月6日に組み合わせ抽選会が行われ、6月17日には開会式に続いて1回戦が始まる。予定どおりなら7月16日に決勝戦という流れになる。

 生まれ育ったわけでもない沖縄の高校野球に胸が躍るのは30年以上前、石垣島の八重山高校(八重高)を取材したからだ。迎えてくれたのは当時の監督、瀬名波長宏さんだった。瀬名波さんは甲子園の土を八重高グラウンドのマウンドの下に埋めたのだという。

「1988年、甲子園にあと一歩のところまで迫って、周りから『次は甲子園だ』と期待されました。だから子どもたちに『甲子園は遠くない、すぐそこにある』という想いを伝えたくて、グラウンドに甲子園の土を埋めたんです」

 1988年の夏、八重高は沖縄大会の決勝で沖縄水産高と戦った。当時は「沖縄から大臣が出るのが先か、離島から甲子園へ出るのが先か」と言われており、甲子園出場は離島の悲願だった。しかし・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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