小学生のときからよく知っている野球好きの女子がふたりいる。彼女たちは今年、高校3年生。小学生のときは学童野球のチームに入って男子と変わらぬプレーをしていた。中学での彼女たちのプレーを見る機会はなくなってしまったが、それぞれ野球を続けていると聞いていた。そんな彼女たちは高校へ入るとき、違う道を選んだ。

　ひとりは家を出て、寮生活を始めた。なぜなら高校で野球を続けたいと考えたからだ。増えたとはいえ女子の硬式野球部がある高校は限られている。彼女は関西の高校へ進むことを決めて、選手として高校野球に向き合ってきた。

　もうひとりは都内屈指の進学校へ入学し、高校では硬式野球部のマネジャーを選んだ。自宅から通ってはいるが、朝練もあって朝は早く、帰りも遅い。難関大学への進学を目指して勉強に励みながら、マネジャーとして高校野球の世界にどっぷりと浸っている。

　女子の野球が世に認知されてきたとはいえ、未だに野球女子の選択肢は限られている。多くの男子が高校を卒業するときに迫られる選択を、女子は中学を、いや、場合によっては小学校を卒業する段階で迫られてしまう。この先も・・・