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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「彼らは今、あの日の野茂のように──」

 

1995年に海を渡ったドジャースの野茂英雄は、現地でプロスポーツの在り方を思い知ったと言う[写真=BBM]


野茂フィーバーに沸いた1995年の現地取材


 ドジャー・スタジアムの記憶を辿れば、1995年の野茂英雄が浮かんでくる。あの年は野茂のドキュメンタリー番組を取材するためにアメリカ中を旅していた。当時は野茂の周辺の取材を担当していたため、たとえば野茂が投げている真っ最中、ゲームを見ずに球場の外へ出てドジャー・スタジアムの外周を撮影したこともあった。盛り上がった観客の視線と目映いカクテルライトがきっと野茂を射抜いているであろう、そのスタジアムの外にまで洩れ出てくる光があまりに美しくて、今でもその光景は脳裏にくっきりと焼きついている。

 その年の7月にテキサスで行われたメジャーのオールスターゲームでは、野茂がナ・リーグの先発として2イニングを投げた。そのときに対戦したバッター、全員のもとを訪ねて歩いたことも印象的だ。

 野茂はまず、内角低めのフォークで一番のケニー・ロフトンから空振り三振を奪う。真ん中低めのフォークをライト前に運ばれ、唯一のヒットを許した二番のカルロス・バイエガは、直後に盗塁を試みて刺された。三番のエドガー・マルティネスからは外角低めのフォークで空振り三振を奪い、1回をゼロに抑える。

 2回、四番のフランク・トーマスには全球、直球勝負を挑み・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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