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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「年齢を忘れさせる迫力 58歳のサウスポー」

 

2021年に女子高校野球の決勝を甲子園で行うなど[写真=早浪章弘]、近年は女子の野球環境が整い始めたが、それは牛歩の歩みでもあった


牛歩の歩みだった 女子の野球環境


 ヴィーナス・リーグを戦う『ジャイアンツ女子チーム』が女子硬式のクラブチーム『侍』と試合をした7月27日。侍の先発ピッチャーは千葉奈苗だった。

 千葉は58歳のサウスポーである。1965年生まれで、山本昌水野雄仁渡辺久信古田敦也らと同学年だ。『巨人の星』(川崎のぼる)、『ドカベン』『野球狂の詩』(いずれも水島新司)のど真ん中世代である。その『野球狂の詩』には、今の千葉と重なる野球人が2人登場する。千葉がこう言った。

「水原勇気さんと岩田鉄五郎さんですね(笑)。夏休みになると『野球狂の詩』のアニメをテレビでやっていたんです。小学5年生のときだったかな。映画も観ました。水原さん役を木之内みどりさんが演じて……女子のプロ野球選手どころか女子が野球をやること自体が突拍子もないことでしたから、よく覚えています。その映画での岩田さんは、確か58歳だったかな(実際の映画では53歳)」

 水原勇気は『野球狂の詩』に登場する東京メッツの左ピッチャーで、プロ野球“史上初の女子選手”である。水原がメッツに入団した75年、「医学上男子でないもの」を支配下選手にすることはできない野球協約が存在していた。そこで協約突破に執念を燃やしたのが53歳で投げ続ける球界の宝、岩田鉄五郎だった。岩田がいかにして協約を変えさせたのかについては、『野球狂の詩』を読んでほしい。協約が変わるのも納得、という物語が丁寧に綴られている。千葉はこうも言っていた・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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