指揮官の厳しさに応え積み重ねていった成績
就任1年目の監督がリーグ優勝を果たしたとき、お立ち台で前監督の名前を口にするのは珍しい。監督を引き受けるとなれば、自分の色を出したくなって当然だし、ある程度はチームを改革したくなる。前年に結果が出ていないとなればなおさらだ。
2003年、就任2年目の
星野仙一監督がタイガースを優勝に導いたとき、お立ち台で
野村克也前監督の名前を出して感謝の想いを表したことがあったが、今年、就任1年目だったジャイアンツの阿部慎之助監督は、4年ぶりのリーグ優勝を決めた直後、広島のお立ち台で
原辰徳の名前を口にした。
「もちろんプレッシャーはありましたし、この場をお借りしてね、原さんが……(感極まって言葉に詰まる)指導者に導いていただいて、よかったなと思います。感謝してます」
原前監督からジャイアンツを引き継いだ意識と、そのチームを自分に託してもらった感謝の想いを素直に口にする──こういうところに俠気(きょうき)を感じさせる阿部監督だから、優勝を決めた選手たちがエモーショナルになっていたのだろう。とりわけ気になったのは、菅野智之のことだった。
昨年の11月、就任したばかりの阿部監督は、今年の開幕戦を
戸郷翔征に託すと公言した。これまでエースとしてチームを支えてきた菅野の性格を知り尽くしているはずの監督が、あえてそうした意図を今春の宮崎キャンプで訊いてみたことがあった。阿部監督はこんなふうに言っていた。
「そこは成績がすべてなんですが・・・
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