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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「信じていたエースと結んだ固い絆」

 

マジック1で迎えた9月28日の広島戦[マツダ広島]。先発の巨人菅野智之[写真]が15勝目を挙げて、阿部慎之助監督を胴上げした[撮影=佐藤真一]


指揮官の厳しさに応え積み重ねていった成績


 就任1年目の監督がリーグ優勝を果たしたとき、お立ち台で前監督の名前を口にするのは珍しい。監督を引き受けるとなれば、自分の色を出したくなって当然だし、ある程度はチームを改革したくなる。前年に結果が出ていないとなればなおさらだ。

 2003年、就任2年目の星野仙一監督がタイガースを優勝に導いたとき、お立ち台で野村克也前監督の名前を出して感謝の想いを表したことがあったが、今年、就任1年目だったジャイアンツの阿部慎之助監督は、4年ぶりのリーグ優勝を決めた直後、広島のお立ち台で原辰徳の名前を口にした。

「もちろんプレッシャーはありましたし、この場をお借りしてね、原さんが……(感極まって言葉に詰まる)指導者に導いていただいて、よかったなと思います。感謝してます」

 原前監督からジャイアンツを引き継いだ意識と、そのチームを自分に託してもらった感謝の想いを素直に口にする──こういうところに俠気(きょうき)を感じさせる阿部監督だから、優勝を決めた選手たちがエモーショナルになっていたのだろう。とりわけ気になったのは、菅野智之のことだった。

 昨年の11月、就任したばかりの阿部監督は、今年の開幕戦を戸郷翔征に託すと公言した。これまでエースとしてチームを支えてきた菅野の性格を知り尽くしているはずの監督が、あえてそうした意図を今春の宮崎キャンプで訊いてみたことがあった。阿部監督はこんなふうに言っていた。

「そこは成績がすべてなんですが・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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