
10月6日、楽天とのシーズン最終戦[楽天モバイル]後に辞任を表明したオリックス・中嶋聡監督[右、左は宮城大弥]。選手起用に戦術と、あらゆる策を繰り出した指揮官の“ラストマジック”は、選手たちに“気づき”を与えたことだった[写真=高原由佳]
やらされるのではなく必要な練習を自ら考え
プロ野球における理想の一軍と二軍のあり方をイメージしたとき、ひとつ、こうであればいいのに、という例が思い浮かぶ。
たとえば一軍のクローザーが故障する。8回を委ねていたセットアッパーがクローザーに回るのではなく、クローザーとして二軍の公式戦で投げていたピッチャーが代わりを務める。先発ピッチャーにアクシデントが起こったとき、二軍で先発ローテーションを守るピッチャーが一軍で投げる。
野手にしても、レギュラーに何かあれば、一軍と同じ役割を担う二軍の選手がカバーする。一軍には中継ぎ、代打要員、ユーティリティーの守備要員など、それぞれが担う役割があるはずで、だから抜けたレギュラーの穴を彼らが埋めるのは必ずしもいいことではないと思う。二軍の選手が一軍の穴を埋めるのが、二軍の理想的なあり方ではないだろうか。
そんなリプレイスメントを、よもやのチーム単位でやってしまったのが中嶋聡だった。
2019年、バファローズの二軍監督に就任した中嶋は、二軍に改革を施した。たとえば春季キャンプには一軍とはまったく違った練習方針で臨んだ。朝は各自でアップ、グラウンドに到着したらすぐに実戦に近い練習を行い、昼過ぎからは個人練習に充てる時間を設けた。指導者として・・・
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