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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「売買よりも問いたい“真贋”の是非」

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一流になるほどサインを求められる機会も増える中、選手もファンを思って応じている。そんなサインの転売が問題視される昨今だか、“手に入れる労力”を考えれば、違った側面も見えるものだ[写真=Getty Images]


見方を変えれば過酷で困難な仕事


 日米でキャンプの取材に行くと野球好きの熱量を感じる。こちとら仕事を理由にレンタカーも借りるし、クレデンシャル(取材パス)もある。しかし、休みを取って自腹で足を運ぶ野球好きは、選手の練習メニューも分からない中、一目見たい、サインが欲しいと右往左往。ひたすら待ち続け、空振りは当たり前の疲れ果てる一日を過ごしているのだから、頭が下がる。

 今年の1月、イチローが殿堂入りを果たしたとき、クーパーズタウンへ同行して取材した。その最後、イチローがマンハッタンからシアトルへ戻る日の朝のことだ。空港へ向かうイチロー夫妻を見送ろうと、彼らが泊まっているホテルへ出向いた。ホテルの名前を聞いて、出発時間を確認し、少し早めにホテルに着いた。迎車が用意されたのは、ホテルの裏口だった。

 すると、そこにMLBの公式球を手にした“サイン小僧”たちが待ち構えていたから驚いた。いったい彼らはなぜここに……そもそもイチローがマンハッタンに泊まっていることも、どこのホテルかも、いつシアトルに戻るのかも、まして裏口から出ることも“サイン小僧”たちに分かるはずがない。しかし、彼らは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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