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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「形態を変えた販売法も今なお蔓延る転売問題」

 

3月18、19日に東京ドームで行われたMLB東京シリーズのチケット争奪戦は10万人超とも言われ、当日も多くの人でにぎわった[写真=Getty Images]


夜が更けるごとに増える一方の輩


 あれは1987年のことだ。旧知の小さな会社の社長さんから「後楽園球場の巨人戦の切符を手に入れたいから並んでほしい」と頼まれたことがあった。4〜5人で交代しながら1週間、渋谷のプレイガイドの前に並ぶ仕事なのだが、それはつまり渋谷の路上に座り続けることを意味していた。

 路上に座って道行く人を眺めた経験などあろうはずがなく、それはそれで興味深い光景だった。通りすがる大人たちの反応はさまざまで、スマホどころか携帯もない時代、本を読むくらいしかすることがなかった大学生は、ぼんやりと道行く人を眺めていた。目もくれない人、蔑(さげす)むように一瞥(いちべつ)する人、会釈する人……こういう大人にはなりたくないという人がたくさんいて、いい社会勉強になった。

 しかし、本当の社会勉強はここからだった。プレイガイドの前に並んでいたのは、われわれだけで、もちろん先頭だ。当時、都内には複数のプレイガイドがあり、発売当日は長蛇の列になるのが当たり前。その社長さんは「渋谷のプレイガイドが穴場」と言っていた。

「渋谷はネット裏が100枚出る、ひとり2枚だから50人は買える」らしく、2人で4枚をゲットするのが、われわれのミッションだった。先頭に並んでいるのだから、あとは発売日を待てばいい……はずだった。

 発売開始の前夜、突如、われわれの前に割り込むようにガラの悪い輩が4〜5人、現れる。そしてあからさまに、われわれより前と思しき場所を陣取った。あまりに理不尽な状況に「あのぉ、僕たちが先に並んでいたんですけど」と勇気を振り絞って声を掛けた。すると輩のひとりがこう訊いてきた・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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