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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「極端な2つの状態の間 “普通”を知る大切さ」

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海の向こうでも名を馳せるイチロー[右]と大谷翔平。2人の思考は通ずるものがある[撮影=2022年、写真=Getty Images]


根っこの部分を見るからこそ


 春のセンバツに出場することが決まっていた高校生と話をしていたら、突然、彼がこう言った。

「じつは今、悩んでいることがあって……秋は調子がよかったんでレギュラーを獲れたんですけど、最近、調子が悪くて、このままだと甲子園で試合に出られるかどうか、微妙な感じなんです」

 そして、彼はこう続ける。

「秋のよかったときのビデオを繰り返し見ているんですけど、あの感じが戻らなくて……」

 選手の、ましてセンシティブな高校生の技術に素人がアドバイスなどできるはずもなく、こちらはうなずきながら聞いているしかなかったのだが、そのとき、心の中である言葉を思い出していた。それは、かつてイチローから聞いたこんな言葉だ。

「いいときに戻そうなんて思ったらダメですよ。よくないときは普通の状態に戻そうとしないとね」

 つまり、イチローは“調子がいいとき”というのはバロメーターにはならない、なぜなら、そうしたくてもできない状態が“調子のいいとき”と“調子が悪いとき”だからだ、と言うのである。

 興味深いのは・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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