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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「大学時代からの好敵手 “蛇と蛙”の立場逆転」

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巨人高橋由伸中日川上憲伸のプロ初対決は見逃し三振で、川上に軍配。大学時代から続くライバル関係は、その後も続いていった[撮影=BBM]


野球界では極めて珍しい関係の2人


 アマチュアの世界で鎬を削った宿敵同士がプロの世界でも同じレベルで戦い続けるケースは、そうあることではない。マンガの世界なら、まず『ドカベン』(水島新司)の山田太郎と不知火守が思い浮かぶ。山田の明訓高校と同じ神奈川の白新高校にいた不知火は、神奈川大会でことごとく明訓高に敗れ、一度も甲子園出場を果たしていない。それでもドラフト1位で日本ハムに指名された不知火は、西武にドライチで入団した山田とプロの世界でも鎬を削ることになる。

 2人のプロでの初対決はオールスター明け。その時点で12勝を挙げていた不知火から山田は21号をライトへ、22号をレフトへ、23号のサヨナラホームランをライトへ放つ。山田と不知火のプロ初対決、山田が1試合3本のホームランを放って不知火を粉砕した。

『巨人の星』(梶原一騎・川崎のぼる)では、星飛雄馬と花形満が長年の宿敵としてアマからプロの世界で渡り合った。星は青雲高校の1年生エースとして、夏の甲子園の決勝で紅洋高校の花形満と対戦する。左手指の爪を痛めていた星は花形にサヨナラホームランを打たれ、甲子園では花形に敗れた。しかし、2人はその後、プロの世界で巨人と阪神に分かれて死闘を続ける。ただし、花形は星よりも2つ上で、同い年だったわけではない。花形は「星くん」、星は「花形さん」と呼んでいて、じつはこの歳の差というヤツ、永遠の年功序列が人間関係を支配する日本の野球界においては宿敵という関係に影響しないとは言い難い。

 となると、リアルの世界にいるこの2人である。大学時代から鎬を削り・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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