
繊細な感覚を細部にまで求めるイチロー。手にするグラブも同じことだっただけに、ミズノの岸本耕作さんにとっても、イチローとの出会いは大きな財産になった[写真=Getty Images]
この道50年のクラフトマン
兵庫県の「宍粟(しそう)」は稀少なブランド牛の産地だということは聞いていたが、だからといって牛肉を食べに出掛けたわけではなく、まったく別の理由で宍粟へは何度も足を運んでいる。大阪の伊丹空港からクルマで中国自動車道をおよそ2時間、西へ走る。山陽と山陰を結ぶ国道29号線から播州へ入ると、手延べ素麺『揖保乃糸』の生産地としても知られる揖保川に沿って北上する。
ほどなく西播磨の山々が迫ってきた。そんな兵庫の山間にある宍粟市に、ミズノのグラブ工場がある。
ミズノテクニクスの工場は1970年、宍粟市の波賀町で誕生した。ミズノインダストリー波賀(はが)工場――ミズノが世界に誇るグラブ工場だ。ここでは主にプロ野球選手が使用するグラブ、一般ユーザー向けのオーダーグラブが、グラブ製作技術者“クラフトマン”によって作られている。
ミズノのクラフトマンと言えば厚生労働省より2024年『卓越した技能者(現代の名工)』に認定されたグラブ作りマイスターの岸本耕作さんの名前が挙がる。岸本さんはイチローや
松井秀喜らのグラブを手掛けてきた、この道50年のクラフトマンだ。波賀で生まれて波賀で育った岸本さんが中学校へ入ったとき、波賀にミズノの工場ができた。当時、野球をやっていた岸本さんは「この工場でグラブを作る仕事がしたい」と思ったのだという。つまり・・・
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