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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「山本由伸がMLBに蘇らせた本来の投手像」

 

ポストシーズンで2試合連続完投の偉業を達成した山本由伸は、自身を守る“メタ認知”の高さを備えている[写真=Getty Images]


“メタ認知”の高さがもたらした行動


 試合で1球も投げず、ブルペンで準備をしただけでこれほど男を上げたピッチャーは過去、記憶にない。ワールド・シリーズの第3戦は緊迫した延長が続いた。ドジャース、10人目のピッチャーの球数が増えていく中、山本由伸がベンチからブルペンへと向かった。

 第2戦で105球で完投勝利を挙げてから中1日――しかしフレディ・フリーマンのサヨナラホームランで決着がつき、延長19回は行われなかった。投げずに済んだ山本はブルペンからベンチへ戻る途中、駆け寄ってきた大谷翔平佐々木朗希と抱き合いながら、ぴょんぴょん跳ねて勝利を喜んだ。

 ブルペンで準備をした山本の決断と行動は「献身」「侠気」といった称賛がなされた。もちろん実際に行動した山本の心意気には敬意を表する。ただ今回の山本の決断は、献身とか侠気とはちょっと違う、もっと冷静かつ正確な自己分析……いわゆる“メタ認知(自分を客観的に理解する能力)”の高さがもたらしたのではないかと思った。実際、試合後の山本は「完投した2日後に投げられるような身体になったところにすごく成長を感じます」とコメントしている。つまりは故障せずに投げられるというシビアな分析があったからこその決断なら、それはやはり献身や侠気とは違う、メタ認知がもたらした行動だったのだろう。

 思い浮かんだのは山本のプロ3年目、開幕して間もない時期に勝利投手となった試合後のお立ち台でのことだ・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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