昨オフをきっかけに、右腕はまた強くなった。右肘手術から開幕先発ローテーションをつかみ、7月7日現在、防御率は驚異の0点台。年齢は関係ない。大事なのは覚悟だ。 取材・構成=菅原梨恵 写真=井沢雄一郎、BBM のらりくらりで9回
昨年10月に右肘を手術して迎えたシーズン。ひと言で言うと、点を取られない男――それが今の大瀬良大地だ。自らの好成績ぶりに驚いて笑顔を見せる右腕だが、マウンドでは頼もしい限り。そして、発する言葉にも強さが宿る。 ――今季の広島の特徴の一つとして、投手陣が開幕から安定した投球を続けています。7月7日現在、チーム防御率はリーグトップの2.07。先発陣だけでも2.13、リリーフ陣は1.94です。
大瀬良 客観的に見て、すごい数字ですよね。野手も含めてですが、先発もリリーフも、それぞれがお互いの気持ちを理解しながらやれている。苦しいときはほかが踏ん張って支え合って。うまく全部がいいサイクルで回っているんじゃないかなと思います。
――その中で大瀬良投手自身も、防御率0.94と圧倒しています。
大瀬良 出来過ぎで怖いですけどね(笑)。誰もが思っていなかったでしょう。僕自身も一昨年、昨年と苦しい成績で、昨年のオフは手術もして。今年はすごく強い気持ちを持って挑んだシーズンでしたが、さすがにこれほどの成績がシーズン折り返しの時期まで続くというのは想像していなかったです。ただ、いい成績でいられているのはうれしいですね。
――ズバリ、好調の要因というのは?
大瀬良 どうなんでしょうね。オープン戦からシーズンに入った最初のころは、シュートとかフォークをたくさん使っていかないと、と思ってやっていたものの、コントロールがうまくいかなくて球数が増えたり、早い回で交代した試合もあって。それでも、辛抱強く頑張って経験を重ねていくうちに「こういうふうに投げれば、こういう動き方をするんだ」とか「いい形でアウトを取ることができるんだ」とか、見え始めてきたんです。それに伴って信頼度も増していきましたし、自分の体がうまく操れていない感じがしていたのも少しずつ解消されていって、コントロールが良くなってきた。一つひとつのボールに対してコースや高さも、より厳しいところを突けるようにもなったかなと。昨年までの違いとしては、そこが一番なんじゃないかなと思いますね。
――シュート、フォークを多めに、というのは、やはり手術をした影響ですか。
大瀬良 それもありますし、あとはこれまで困ったらほぼカットボールで勝負してきて、もう、ちょっと苦しくなってきているなというのを自分の中で感じたんですよね。なので、対(つい)になるシュートとか、落ち球とかを、より本気になって取り組んで使っていかないと、先が見えないなと。周りもたぶんそう思っている人が多くて、いろいろな方からアドバイスももらいましたし、勇気を出して。
――勇気がいりましたか。
大瀬良 あまり自信がないボールですからね。昨季とかもちょっとずつ使ってはいたんですけど・・・
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