今年の阪神のラインアップを挙げるときに必ずこの若者の名前が入ってくるはず。連覇に向けて苦しい戦いの中で、明るい材料というよりも、虎に英気を与える若虎になっている。今はチームに必死についていき、昨年の反省を生かし、ガムシャラながらも一つひとつ全力でプレーを続けている。
取材・構成=椎屋博幸　写真=牛島寿人、BBM

昨年の反省を生かす

　左投手が先発でもスタメンに名を連ねることも出てきた。打撃の面では結果を出し続け、左翼のレギュラーに一番近い存在になっている。新しい顔の台頭が連覇に必要という岡田彰布監督。その筆頭的存在になっている。

――スタメンの回数も多く、常に試合に出場を続けています。現在、打席で一番大事だと思っていることは何でしょうか。

前川　打率と出塁率、どちらも大事だと思っています。フォアボールはもちろんですが、いろいろなことが起こるので、それも含めてとにかく塁に出たいと思いながら打席に立っています。そこにヒットが出たら最高です。

――出塁率を求めて、ボールを見過ぎると、詰まったりと、その具合は難しいと思ってしまいます。

前川　そうだと思います。でも、打率だけを求めたり、出塁率のみを考えるだけだとダメだと思いますので、難しいことではあるのは分かっているのですが、両方を求めていきたいです。そこを追い求めている段階でもあります。

――その段階はどれくらいできていると感じていますか。

前川　どちらを追い求めていくことも、できつつあるのかな、と感じてはいます。でも、打ったり、打てなかったり……ただ去年のシーズンよりはその波は少なくなってきているので、自分の中ではよくなってきたかなとは思っています。

――昨年、交流戦で活躍し、その後体調不良もあり、苦労していました。

前川　そこは反省をして、体のコンディションづくりをしっかりとやるようにオフから心掛けてきました。シーズン中もコンディショニングの状態を上げていくことを常に考えています。

――例えば、睡眠をしっかりとるという感じでしょうか。

前川　毎試合、試合に出場させてもらっている中で、疲れが出て動きが鈍くなるときが出てくると思うので、それを避けるために、どうやったら疲れが取れるかなどを考えながら、試したりしています。本拠地、甲子園の試合のあとなどは、体のメンテナンスをしっかりやったりしますし、何が一番自分に合うのかを考えながら取り組んでいて、今年はそれができているのかな、と思います。

――昨年は、その部分があまりうまくいかなかった。

前川　去年は、体の面、健康の面に関しての自分の認識が甘過ぎたと思っていました。だからこそ、そこは反省して今年は同じことはしないぞ、という考えがあるので・・・