最速154キロの直球と落差のあるフォークを武器に先発、救援ともこなせるドライチの加入はリーグ連覇を期すチームの大きな力になる。キャンプで適性を見極められていくが、まずは自力で登板機会をつかむため、順調に調整を重ねる22歳。「全部やりたい」と働き場にこだわりがないのは、東北福祉大時代の経験から。焦らぬ理由もそこにある。 取材・構成=鶴田成秀 写真=佐藤真一、BBM 現実を見つつ掲げる理想へ
決して受け身なわけではない。与えられたポジションで腕を振る決意は、「全部やりたい」の思いから。ドラフト時から掲げる「100勝100セーブ」の目標も、その思いの表れだ。それでも焦らず地に足を着けて一歩ずつ前に進むドライチ右腕。プロの世界に挑む姿勢は、自らの成長の軌跡とも一致する。 ──1年目のキャンプインを迎えました。どんな1カ月を過ごしたいですか。
椋木 1月はキャンプに向けていろいろとやってきたので。楽しみにしていたんです。不安よりも楽しみが大きくて、1月にまだ会って話ができていない選手もいるので、一緒に練習できる楽しみが大きいです。まずはA組に入ることを目標に、実戦で投げる日が決まれば、そこに向けて調整していきたいと思います。
──起用法はこれから決まっていきますが、自分で選べるのであれば、投げたいと思う場所はあるのでしょうか。
椋木 本当に、どこがいいとかはないんです。選べるとしても「任されたところ」。それに、「どこをやりたい」という考えより「全部やりたい」という思いがあって。大学のときも週末の試合で土曜日に先発をして、日曜に抑えで投げたこともあったんです。どこでも投げたいし、どこで投げても結果を残せるようにしたいと思っています。
──起用法が決まらない中では、調整する難しさを感じることもあるのでは。
椋木 それはありません。先発でも中継ぎでも抑えでも、大学のときから調整法は変えていなかったので。ブルペンでの球数も同じ。そんなに苦ではないというか、難しさはないですし、起用のされ方で変えることはないと思います。今までどおりの調整。どこで投げるにしても、調整で一番大事にしてきたのは、体のキレを出すこと。ウエート・トレーニングも学生時代からまったくやっていないかったですし、自主トレでも体のキレを出すことを意識してやってきました。体を慣らすこと、動けるようにすること。試合で投げられるように体をつくることに関しては同じだと思うので。
──では、ポジションを問わず、理想の投手像はどんな投手になりますか。
椋木 楽天の岸(
岸孝之)投手です。力感のない真っすぐを投げるけど、スピードは出ているし、コントロールも良い。それでバッターも差し込まれている。やっぱり力感のない真っすぐが理想で、そういうボールを投げたいんです。視覚から得る情報では力感のないフォーム、ボールだけど、実際に体感するボールは力強い。このギャップがあるからバッターは打ちにくいんだと思うんですよね。そのギャップのあるボールを投げることが理想だし、目指すところです。
──椋木投手のフォームも、テークバックからゆっくり重心が沈んでいくような形で力感がありません。
椋木 今のフォームも「力感なく」を意識しての結果なんです。その意識を持った中で今のフォームになったので。
──以前は違ったフォームだった?
椋木 はい。大学に入ったばかりのころは、ただ速いボールにこだわっていたときもあって。単純に体を豪快に、大きく使って速いボールを投げる。そういう感じだったんです。
──大学2年時に右肩を痛めています。その経験も大きかったのでしょうか。
椋木 いろいろ考えるようになったのは・・・
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