
えべっさんの宝恵籠に乗って
本当の幸せに泣きたいなら
以前はウォーキングのあと、なじみのソバ屋に寄ってカマボコとかを頼んで酒を飲み、最後にソバを食べていた。最近は店も酒が出せないからソバだけ食べて帰ってくる。別に飲まなきゃメシが食えないってほど酒好きじゃないけど、ちょっと味気ないね。
そうそう、この間、大学時代のノートが出てきて、そこにこんなことが書いてあったんだ。
「本当の幸せにしみじみ泣きたいならば、きょうの不幸せには笑って耐えようではないか。友よ、あす泣け」
カッコいい言葉だよね。俺が考えたわけじゃないよ。日大時代、森繁久弥さんのラジオで聞いた言葉なんだ。あのころ寮にテレビは2台くらいしかなかったから、みんな夜はラジオを聴いていた。
俺は野球選手だったから、「きょうの不幸せは、打たれたことだな」と思った。それをあれこれ悩むのではなく、次の日にしっかり勝って、仲間たちと、しみじみ喜びをかみ締めようというふうに受け取ったんだ。現役時代、ずっと心のどこかにあった言葉だね。
この間は俺の1年目(1970年)のシーズンの最後、ギリギリで防御率のタイトルを獲った話をしたよね。
でもさ、1年目からタイトルを獲れるなんてまったく思ってなかった。プロに入ったことで、まずは満足だったからね。日大では酒と麻雀を覚えて、あまり練習をやってなかったし、プロのピッチャーは俺よりみんな球が速い。2、3年は二軍でじっくり体づくりしなきゃなと覚悟していた。
自分で自分を褒めてもいいんじゃないかな。スピードだって・・・
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