好きな野球に魂を込めてきた。「ここに立つ為に鍛え抜いた日々よ原口のすべて魅せろ震わせろ」。この男のすべてを表す応援歌だ。今年はファンの声がこの歌に乗り、打席で背中を押してくれる。その期待に、そして自分への期待に応えるために、黙々と前へ突き進んでいる。 取材・文=椎屋博幸 写真=宮原和也 自主トレからいい感じ
カーン! 乾いた打球音が沖縄の空気を裂いていく。高く舞い上がった白球が青空に舞い、新緑の芝生スタンドへと吸い込まれる。この光景を春季キャンプ中に3度も目にした。
「今の時期は投手がどんどん真っすぐを投げてくるので。その中でしっかりと真っすぐを仕留められたのは良かった」と充実した言葉が自然と口をつく。2月26日、
日本ハムとのオープン戦(名護)。8回に代打で打席に立ち、左腕の
福田俊との対戦で、2ボール1ストライクから、左翼芝生席へ豪快な一発を放った。紅白戦を含め、2月の実戦で3本塁打を放った原口文仁。一塁でのスタメン出場を目標に、黙々とバットを振り続けている。
「自主トレからいい練習ができていましたし、キャンプに入ってからもそういう練習がしっかりでき、さらに継続できているので、打席でもいい対応になっているのかな、と感じています。キャンプでは打撃投手にたくさん投げてもらって打ち込む日々でした。現状では、実戦の中で本気で抑えにくる投手の球質と、打撃投手のボールとのギャップがほとんどない感覚なんです。それが良い反応になり、いい結果につながっていると思います。これをずっと続けていきたいですね」 今季、15年ぶりに
岡田彰布監督が復帰。昨年までの
矢野燿大監督のように、試合出場のチャンスを与えるために、複数のポジションを守らせる、ということはせず、就任直後からある程度、ポジションの人選を固定する方針を取っている。秋季キャンプからすでに、一塁のレギュラーは
大山悠輔と明言に近い形で話が進んでいる。
「一塁は決まっているということを書いている報道もあります。でも、この先何が起こるか分からないですし、何かが起こったとしても、一塁を守れる用意を常にしています。一生懸命プレーしてアピールして、そのポジションを奪いにいく、というスタンスしか僕にはできません。人がどう言おうと気にしていませんし、常に自分のことに集中して、やるべきことをやっていくだけです。その先にいい結果が付いてくれば、最高ですよね。その最高の結果を期待してやっていくだけですから」 もちろん、監督や首脳陣の方針に背くということではない。原口自身は大山にも負けないくらいの気持ちで・・・
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