今季、12球団トップの23完投を記録した日本ハム。日本球界に投手の“球数制限”が徹底され、最後まで投げ切る投手が少なくなる中で驚異的な数字だ。その中でも、沢村賞受賞のエース・伊藤大海はチーム最多の6完投。いかにして完投数を増やすことができたのか。野球解説者の鶴岡慎也氏の視点から、その理由を探る。 写真=BBM 
伊藤大海[日本ハム/投手]
完投を増やす源は〇〇にあり!?
――今季、特に伊藤投手の成長を感じた点はどこですか。
鶴岡 伊藤大海はもともとすごく器用です。入団時からスライダーが良く、曲がり球系が武器の投手でしたが、昨年から、チェンジアップやスプリット、ツーシームといった落ち球系をすごく上手に自分のものにしました。曲がり球に加え、落ち球も一級品になると、投手は楽をして変化球でカウントを取りたがります。ただ、彼の場合は真っすぐをしっかり打者に意識させないと、スライダーやスプリットが効かないことを、自分の頭で分かっています。
――試合のなかで、真っすぐを大事にすることを徹底しました。
鶴岡 今年の真っすぐは、すごく力が抜けたフォームで投げていました。100の力感で100の真っすぐを投げても、プロの打者は対応します。伊藤は50ぐらいの力感で、100の真っすぐが投げられたので、打者はすごく差し込まれた。その質の高さやコントロールが今年はシーズンを通して良く、「この場面でも真っすぐで押せるんだ」と感じるほど打者に意識させられました。
――そうなると、変化球もより生きてきます。奪三振率も昨年の8.22から、8.94に上がりました。
鶴岡 今年の伊藤はコントロールが良かったです。特に右打者のアウトコースと左打者のインコースですね。真っすぐは、クロスの球がしっかり投げられていました。これが投げられたら、スライダーも、スプリットも効いてくる。打者が真っすぐを意識しているところに、同じ軌道で、曲げたり落としたりする。逆に変化球を意識したら、真っすぐを投げ込む。この配球の妙は、バッテリーでしっかり話し合って攻めた結果ですかね。僕も捕手として長いイニングを投げさせる際、序盤から変化球を多投させられない。伊藤自身が完投数にこだわるのは、真っすぐの使い方で感じますね。
――今シーズン、
伏見寅威捕手と18試合、
田宮裕涼捕手と9試合バッテリーを組みましたが、配球の違いは感じましたか。
鶴岡 どちらの捕手と組んでも良い成績を残しましたよね。ベテランの伏見がうまく引っ張って、伊藤の良いところを引き出した。逆に田宮と組んだときは、伊藤自身が引っ張っていく気持ちも生まれたと思います。若い捕手とベテラン捕手で組んだのは、バランスが良かったですね。打者は、もちろん投手と対戦しますが、そのときの捕手と対戦することもあるので。
――捕手と対戦する、ですか。
鶴岡 はい。伏見と組んだときと、田宮と組んだときとで配球で違うアクセントが出てきて、打者は戸惑った部分があったのではないでしょうか。対伊藤でも、捕手によって・・・
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