
開幕から打撃絶好調の李政厚。持ち味であるコンタクト能力の高さを生かしながらも、プレースタイルを変更することで結果を残している。その活躍は、母国・韓国だけでなく、アメリカ全土から注目されている
現地時間5月7日、ドジャースの
デーブ・ロバーツ監督がレベルの高いナ・リーグ西地区について聞かれ「順位表にはしっかり目を通しています。われわれの地区は、メジャーで最もレベルの高い地区。本当に良いチームがそろっています。誰かが独走するような展開にはならないでしょう」と話した。
ドジャースは24勝12敗で首位だが、2位パドレスとは0.5ゲーム差、3位ジャイアンツが1.0ゲーム差で追いかけている。ジャイアンツをけん引しているのがベテランのマット・チャップマンと、メジャー2年目の李政厚だ。WARはチャップマンが1.8、李が1.7である。李は36試合をプレーして、打率.312、出塁率.364、長打率.507。43安打はメジャー全体で10位だ。
三番・中堅の重責をこなしている。2023年12月に6年総額1億1300万ドルの契約を結んだものの、24年5月12日にオラクル・パークの中堅フェンスに激突して肩を脱臼し、そのままシーズン終了。37試合で打率.262、長打率.331だった。
しかし今季は長打力が違う。4月13日は
ヤンキー・スタジアムで1試合2本塁打をかっ飛ばした。「大事なのはバレルです。今季は、バレルで捉えた打球が左中間や右中間、ギャップに飛んでいる。それが違いですね」と話している。
李はMLBでは相手投手が積極的にゾーンに投げ込んでくる傾向に気づき、それに対抗すべく、自らも積極的に初球から振っていくスタイルに変えた。もともとコンタクト能力が非常に高いため、空振りが多少増えても、芯でとらえる打球が増えれば好結果につながる。
バットスピードは昨季より遅くなっているが、それでも引っ張り気味に飛球を飛ばし、長打を増やしている。加えて、外角の対応力が向上。昨季、外角3分の1に来た球に対して打率.222、長打率.267だったが、今季は打率.366、長打率.439と飛躍的に向上している。
本拠地オラクル・パークでは、すでに李を応援するファングループが2つも誕生している。球団主導の「Jung Hoo Crew」と、背番号51にちなんで51人が火のようなカツラをかぶる「Hoo Lee Gans/フー・リー・ガンズ」だ。
「フー・リー・ガンズ」はサッカーの応援団のフーリガンをまねたもので、ビジュアル的にインパクトのある応援団を作ろうとした。応援風景はオラクル・パークのビジョンやテレビ中継にたびたび映され話題になった。
地元だけでなく、アメリカ、さらには韓国のメディアからも取材依頼が来ている。当初は李の背番号にちなみ、メンバー数を51人に限定していたが、次回のオラクル・パーク登場時にはその規模がさらに大きくなる見込みだという。
ジャイアンツとドジャースは歴史的なライバル関係。今季、両チームの対戦はまだないが、6月13日からロサンゼルスで3連戦、7月11日からサンフランシスコで3連戦を戦う。そして優勝争いが佳境に入る9月に2シリーズを予定している。
李だけでなく、ドジャースに加入した
金慧成も開幕はマイナーだったが、5月になって昇格、最初の5試合で12打数5安打2盗塁と活躍している。もちろん
大谷翔平、
山本由伸、
佐々木朗希もいて、興味深いカードになる。
文=奥田秀樹 写真=Getty Images