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【MLB】「でかいお尻」がニックネームのローリー 捕手として球史に名を刻むシーズンとなるか

 

メジャー屈指の守備に加えて、打撃でも活躍を見せているローリー。本拠地T-モバイル・パークは本塁打が出にくいと言われている中で、メジャートップの23本を放っている。打てる捕手として、今季どんな成績を残すのか、楽しみだ


 MLBに新しいスター捕手が誕生した。マリナーズの正捕手カル・ローリーである。ここまで23本塁打、メジャー全体で大谷翔平とともに1位。OPSは.999で同4位だ。シーズン63本塁打ペースで、これは正捕手としてはシーズン最多記録を大きく更新する。(※日本時間6月8日、第26号を放った)

 これまでの最多はサルバドール・ペレスが2021年に記録した48本。60本はさすがに無理だろうが、捕手の記録は更新するかもしれない。ちなみに、メジャー史上捕手による40本塁打超えを果たしたのはわずか6人で、8度。ロイ・キャンパネラ(1953年)、ジョニー・ベンチ(70年、72年)、トッド・ハンドリー(96年)、マイク・ピアザ(97年、99年)、ハビアー・ロペス(2003年)、そしてペレス(21年)だけだ。

 ホームランが出にくいと言われるT-モバイル・パークを本拠地にしていることも特筆すべき。その上、守備も素晴らしい。24年には、リーグで一人しか選ばれないプラチナ・グラブ賞を獲得、リーグ最多の32度走者を刺し、フレーミングでも高い評価を得た。

 ニックネームは「ビッグ・ダンパー」。188cm、106kgと体格ががっしりしており、特に下半身が大きく力強いため、チームメートたちが冗談めかして「Big Dumper(でかいお尻)」と呼び始めたのがきっかけだ。

 データサイト、ファングラフスの算出によるとここまで3.8のWAR(勝利貢献度)を記録。これはメジャー全体で、アーロン・ジャッジ(5.1)に次ぐ2位。単純計算ではシーズン10.4WARのペースでこれもMLB史上、捕手として最高の成績になる。これまで捕手が1シーズンで9WAR以上を記録した例はわずか3例でバスター・ポージー(2012年)が9.8、ベンチ(1972年)は9.2、ピアザ(1997年)は9.1である。

 マリナーズは今年3月、6年総額1億500万ドルの契約延長を与えたが、とても賢明な判断だった。ちなみに捕手の最大の契約はフィリーズのJ.T.リアルミュートが2021年シーズン前に結んだ5年1億1550万ドルである。

 ローリーはチームリーダーでもある。18年ドラフト3巡目でフロリダ州立大学から入団した生え抜き。21年にメジャー・デビュー。23年、より豊富な資金力を持つレンジャーズがマリナーズを抑えてプレーオフ進出を果たした際、ローリーは補強に十分な投資をしない球団の姿勢に公然と疑問を呈した。

「向こうのロッカールームを見てみろよ。彼らはどのチームよりも補強をしてきたし、それが今年どこまで彼らを導いたかを見れば分かる。やり方は一つじゃないのは確かだ。でも、実績のある選手、大舞台を経験した選手を獲得することは、このチームにとっても、大きな助けになったはずだ」とファンの不満を代弁した。

 そのとき、批判されたジェリー・ディポト編成本部長は「カルは決して声の大きいタイプではなく、むしろその逆で、静かに周囲を観察し考えている。でも、言うべきことがあればちゃんと口にする」とそのリーダーシップを称えている。

 マリナーズは現在アストロズとア・リーグ西地区で首位の座を争っている。果たして、自身としてもチームとしても新たな歴史を築けるのか。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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